「おばあ、ハンバーグって、これトンカツやんか!」パン粉で揚げたフライドハンバーグ!?


「おばあ、ハンバーグって、これトンカツやんか!」パン粉で揚げたフライドハンバーグ!?

揚げハンバーグなど、おばあが作った晩ごはんのメニュー

メニュー
・ハンバーグ?
・焼きホタテ
・タコときゅうりの酢の物
・白菜キムチ
・サラダ
生:トマト、キャベツ 茹で:ブロッコリー、アスパラガス、ほうれん草
・ごはん

「ハンバーグ、つくったで!」
僕が席に着くなり、おばあがいう。おばあはついに、ボケてしまったのか。テーブルにハンバーグなんかどこにもない。今日のメインはどう見たって、トンカツじゃないか。

認知症になると料理ができなくなるそうだ。トンカツは衣の端が少し焦げてるけど、香ばしいかおりがして食欲をそそるし、焼いたホタテや酢の物など、手づくりの他のおかずも並んでいる。これだけの料理がつくれるおばあはまだ、ボケてなんかいない。単純ないい間違いだろう。僕の名前を、おばあの息子(僕の叔父)と間違えたりするくらいだから、料理名を間違えたっておかしくない。

そう思って、
「ハンバーグじゃなくて、トンカツやろ」
僕が指摘しても、
「ハンバーグや!」
とおばあはいい張る。

あまりにはっきりいい切られると、追求するのも馬鹿らしくなってくる。じゃあ、それだけいうならとにかく食べてみよう、と思っても、もしトンカツだった場合、おばあの脳に異常があるのはほぼ確定……。認知機能がおかしくなって、トンカツをハンバーグと思い込んでいることになる。僕の一口におばあの今後がかかっていると思うと、握ったままの箸が伸ばせない。

すると、
「さっさと食えや! 冷めるやろ!」
とおばあが語気を荒げ、僕はあわてて一切れを口に放り込んだ。

しっかりと揚がった衣がいつもより香ばしく、歯触りもいい。まだ油が熱く、口の中がやけどしそうになる。中身は豚肉よりも柔らかく、それでいてしっかりと密度があって噛むと肉汁が染み出してくる、これはまるで、ミンチを丸めて固めた……ハンバーグだ!

おばあの手作りの揚げハンバーグ

断面を見るとまさしく、ハンバーグ。おばあはハンバーグに、衣をつけて揚げたのだ。以前おばあは、ハンバーグの天ぷらや素揚げをつくったことがある。だからパン粉をつけて揚げたフライだってありえるのに、僕はこれがハンバーグだとは思えなかった。

なぜそう思えなかったのかといえば、今回のハンバーグのフライと、以前の天ぷらや素揚げとは、見た目がかなり違うからだ。天ぷらや素揚げは、一口サイズで、一つひとつの形がいびつで、いかにも手づくりという感じだった。それが今回は、きれいな小判型をしていて、トンカツみたいに切り分けてある。

もしかして中身は、買ってきたやつじゃないのか。そういえば、おばあがたまに買ってくる肉屋のハンバーグのような味がする。それにおかずが肉屋のハンバーグのときは、決まって2つが皿に並ぶ。今日のも、ハンバーグ2つ分だ。

おばあは買ってきたハンバーグに、わざわざ衣をつけて揚げたのだ。なぜそんなことをしたのか。それに、出来合いのものに手を加えて「つくったで!」と、一からつくったように胸を張るのはなぜだろうか。といった疑問が沸いてきたけど、答えを尋ねる気にはならなかった。

「おいしかったわ!」
と料理をすべて平らげてから僕はいった。おばあは空の食器を両手に持ち、満足そうな顔で台所に向かっていった。

テーブルに戻ってきたおばあは両手に皿を抱えていた。白くてみずみずしい梨が山盛りだ。すぐに帰ってきたところからすると、梨はあらかじめ皮をむいて切り分け、ラップをして冷蔵庫に入れていたのだろう。果物はいつも食べる直前に切るのに、今日はなぜすぐ食べられるように準備していたのだろうか。

また疑問が浮かんできたけど、おばあに続いて手づかみで、一切れかじった瞬間、どうでもよくなっていた。

梨を手づかみで食べるおばあ

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