味噌ではできない!?サッポロ一番塩ラーメンのおいしいつくり方

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おばあが夕飯に用意した、サッポロ一番塩ラーメン

サッポロ一番といえば、みそラーメン。僕がはじめて食べたインスタントラーメンだ。幼稚園に入ったくらいのことだから、ほとんどのことは覚えていないけど、そのときの記憶ははっきりと残っている。

あれはおばあがつくってくれたのだった。大きな丼ぶりから、小さな味噌汁用のお椀に取り分けてくれたのはいいけど、ものすごく熱かった。あまりに熱いので、僕は食べるのを拒否し、すっかり冷えて麺が伸びきったところで、やっとフォークを握って口に入れた。

やたらとしょっぱくて、柔らかい麺がぼそぼそと千切れ、スープを吸ってふやけたキャベツだけが口の中に残った。おいしいのかまずいのかわからず、違和感はあったけど、もう一口、食べたいと強烈に思った。それから夢中で伸びた麺とキャベツを口に運び、スプーンでスープをすすった。スープには、半熟たまごの黄身が溶け込んでいて、濃いめの味噌の風味の中に大好きなたまごの味がした。そのスープが、あまり好きではなかったはずのキャベツの甘みを引きき出していた。

お椀にもう一杯、おかわりしたかったけど、大きな丼ぶりの中身はおばあが平らげてしまっていた。それでまた、次の日もつくってもらった。好物のカレーや親子丼でも、そこまでして食べたいと思ったことはなかった。あのとき僕は、インスタントラーメンとキャベツのおいしさを知ったのだった。

ひとり暮らしをしていたとき、しょっちゅう袋めんにキャベツとたまごを入れたものを食べていたのは、あのときの体験があったからだ。同じ具材で袋めんをいろいろ試してみたけど結局、サッポロ一番みそラーメンを越えられるものはないと思う。

だけど今日、おばあの家の台所の流し台に置いてあるのは、サッポロ一番塩ラーメン。なぜ塩なのだろうか。おばあは最近つくってくれないけど、袋めんはいつも、サッポロ一番みそラーメンと決まっていた。別のものを出すときは、人からもらったときくらいだ。

「このラーメン、誰かがくれたんか」
コンロで鍋を温めていたおばあに聞いてみる。
「買ってきたんや!」
と返事をしたおばあは、袋から麺を取り出して鍋に入れた。

サッポロ一番塩ラーメンの麺を鍋に入れているところ

袋入りの粉末スープは、麺がほぐれたあとに投入すると書いてあったはずだけど、煮えたぎる鍋の中ではすでにスープができあがっている。

「なんでみそじゃなくて、塩ラーメンを買ってきたんや」
と聞くと、
「サッポロ一番なんやから、どれでも一緒やろ!」
本気でいっているのかおばあ! 塩もおいしいけど、みそとは違う。それに久しぶりにつくってくれるなら、最初に食べた懐かしい味がよかった。

おばあが夕飯に用意したサッポロ一番塩ラーメンをつくっているところ

菜箸で麺を沈める。具材は、半熟たまごとキャベツだろうか。

サッポロ一番塩ラーメンに入れた玉子がつぶれている

たまごは入っているけど、半熟じゃない! しかも固まったところを菜箸でつつくから、不格好につぶれてしまっている。キャベツも入っていないみたいだ。サッポロ一番はどれも一緒だとかいってたくせに、定番だったはずの具材が変わっているのはどういうわけなんだ。久しぶりにつくったから忘れてしまったのか。

サッポロ一番塩ラーメン(玉子と鶏肉入り)など、おばあが作った夕飯のメニュー

メニュー
・サッポロ一番塩ラーメン
鶏肉、たまご
・煮物
里芋、糸こんにゃく、にんじん
・コロッケ(総菜屋で購入)
・白菜キムチ
・サラダ
生:トマト、キャベツ 茹で:ブロッコリー、アスパラガス、ほうれん草

ラーメンの見た目は悪くない。黄色味を帯びたスープに、固まったたまごの黄色や白が散らばっているのも、あとから乗せたゴマの香りも食欲をそそる。でも、やっぱり、たまごが半熟じゃないのも、キャベツがはいっていないのも、そもそもみそラーメンじゃないのも気になる。

サッポロ一番塩ラーメンがあるのに、おばあが用意したご飯

台所からやってきたおばあが、僕の目の前に茶碗を置いた。中にはごはんが少なめに入っている。太り気味の僕の体型を気にしているおばあが、なぜラーメンとごはんという、炭水化物の重ね食べをすすめてくるんだ。

おばあが夕飯に作ったサッポロ一番塩ラーメン(玉子と鶏肉入り、野菜なし)

麺に箸を突っ込むと、底の方に鶏肉がたっぷり沈んでいた。スープに浮いている脂も、ほとんどが鶏肉から染み出したものらしい。

鶏肉と固まったたまごと麺を箸でつまんで一緒にすする。あっさりとした塩味のスープやゴマの風味が、鶏肉の味を引き立て、もっちりとした麺と一体になって口じゅうにあふれ、喉に滑り落ちる。もう一口、食べたいと強烈に思う。

一年近く前、年越しで食べた鶏そばを、おばあはラーメンに応用している。これは、みそじゃ出せない、塩ラーメンだからこそのおいしさだ。そしてまた、鶏肉のうま味が濃厚に溶け込んだスープと、ごはんがよく合う。

サッポロ一番はどれでも一緒とか、おばあはいってたけど……
「わかってるやんか!」
丼ぶりを抱えてスープを飲んでいたおばあにいった。

おばあはスープを飲み干し、口元だけでにやりと笑った。いつものように、高血圧だからとか、塩分が高いものは控えろとか、注意する気になれなかった。