今度こそおばあの手づくり!?オリーブオイルの揚げ春巻き

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惣菜の揚げ春巻きや煮物など祖母(おばあ)が用意した晩ごはんのメニュー

メニュー
・揚げ春巻き
・大根と厚揚げの煮物
・酢の物
タコ、ワカメ、きゅうり
・サラダ
生:玉ねぎ、トマト、キャベツ 茹で:ブロッコリー、アスパラガス、ほうれん草
・ごはん

おばあがつくれる中華料理は〝酢鶏”しかない。これは酢豚の豚肉を、惣菜の鶏の唐揚げにかえたもの。具材を刻んで炒め、市販の酢豚用甘酢あんをからめればできあがり。味付けをイチからできる中華はひとつもない。

しょっちゅう出てくる餃子はいつもスーパーで買ってくる。揚げ春巻きなんて到底つくれるわけがない。今晩の食卓に並んでいるものは、商店街の総菜屋で買ってきたのに違いない。だけどこの春巻き、揚げたての感じがする。まだ温かく、黄色っぽい油が皿に染み出している。しかも部屋じゅうに漂っているのは、油を熱した香ばしい香り。買ってきたものを電子レンジやフライパンで温めたわけではなさそうだ。

おばあが買ってきた揚げ春巻き

箸を入れると厚めの皮が内側までサクッと揚がっている。ひと口かじると、うまい! この食感はやっぱり揚げた直後としか思えない。皮は油をしっかり吸っているけど、あまりべたつかず後からやってくるのは爽やかな苦味。この油の味わいには覚えがある。この緑がかった黄色も見たことがある。まさか……オリーブオイル! おばあはオリーブオイルで春巻きを揚げたのか!

だけどおばあがつくったとも思えない。中の具材はたけのこ、エビ、鶏肉などが細かく刻まれてとろみがあり、鶏ガラのダシのような本格的な中華の味がする。八宝菜のつくり方も忘れたおばあにこの味は出せないだろう。

そうなると、答えはひとつだ!

おばあはいつも僕の考えていることを見抜き、小バカにしてくる。たまには僕も先回りして何かをいい当て、おばあを見下してやりたい。その一心で僕は顎を上げ、ドヤ顔をつくっていった。
「この春巻き、近所の人からもらったんやろ?」
すると春巻きをかじっていたおばあは、
「何いうてんねん! 買うてきたんや!」
と即座に否定した。

だとしたら惣菜を高価なオリーブオイルで揚げるのはなぜなんだ。僕は心の内を見透かされるばかりで、おばあの考えていることはわからない。何もいい返せないまま、春巻きをかじった。そして顔を上げると、おばあは顎を突き出し得意げな様子で僕を見ていた。どうや、春巻きうまいやろ? という声が聞こえてきた気がした。

そうか、僕もおばあの心が読めたぞ! 出来合いの春巻きをいい油で揚げると、手軽においしく味わえる。この〝手軽においしく“というのをおばあは重視している。考えてみたら酢鶏もそうだ。なぜ僕はそんなことに気が付かなかったんだ。でも一度、見通したおばあの思考は、手に取るようにわかる気がする。

そういえば今晩のメニューは量が少なく感じる。つい数日前、山盛りの餃子が出てきたばかりだから余計に物足りない。これにもおばあなりの理由があるはずだ。

祖母(おばあ)が作った大根と厚揚げの煮物

水分たっぷりの大根の煮物では腹にたまらないし、

祖母(おばあ)が作った酢の物

酢の物が入っている皿は小さい。おばあがよそってくれたごはんも、何だかいつもより少ない。おばあの考えていることは簡単にわかる。この前、僕らは餃子をかなり食べすぎたから、今晩は少なめで我慢してカロリーのバランスをとろうという算段だろう。特に最近太りぎみの僕の体型と健康を気づかってくれているのだ。

おばあの思いやりに感謝しながら食べ進め、すべて平らげたときには腹八分目くらいだった。もうちょっと食べたいけど今日はこれでいい。せっかくおばあが、少なめのメニューを用意してくれたのだ。そう思ったとき、台所に食器を下げに行ったおばあが戻ってきた。そして僕の目の前に――

 

祖母(おばあ)が買ってきたレディーボーデンのバニラアイス

バニラアイスとスプーンを置いた。これは、レディーボーデン!

祖母(おばあ)が買ってきたレディーボーデン・バニラアイスの中身

早速スプーンですくって口に入れる。僕がよく買うラクトアイスよりミルクの風味が強くておいしい。

レディーボーデンのストロベリーアイスを食べるおばあ

おばあが手に持っているのはピンク色のストロベリーアイス。

レディーボーデンのストロベリーアイスをスプーンでほじくる祖母(おばあ)

僕の3倍くらいのスピードでスプーンですくっては、ぱくぱく食べまくる。

さっきまで腹八分目がどうだとか考えていたけど、これくらいなら食べすぎの心配はない。小さめのカップだし全部食べても腹9分目くらいだ。まだ余裕がある。

先に食べ終えたおばあは、空のカップとスプーンを台所に持って行った。僕がまだレディーボーデンを食べているとおばあが戻ってきた。手にはまた何かを持っている! 席につくなりパクりとかじりついたのは――

パルムを食べる祖母(おばあ)

パルムじゃないか! 僕も好きなチョコレートアイスクリームバーだ。今日は食べすぎないつもりじゃなかったのか! 血糖値が急上昇するぞ!

祖母(おばあ)がかじったパルム

おばあ、もうやめるんだ! と僕が口をはさむ間もなく、

祖母(おばあ)が食べたパルムの棒

パルムはあっけなく棒だけになった。

僕は前言撤回しないといけない。やっぱり、おばあの考えていることがわからない。デザートにアイスを2つ食べるために晩ごはんを少なくしたのか。それとも晩ごはんが少なかったからアイスを2つ食べたのか……。

ここはひとまず、もうひとつアイスを食べながら考えよう。僕は空になったカップとスプーンを手にして台所に行き、冷凍庫を開けた。そこにはちゃんと僕のぶんのパルムが入っていた。

森永チョコレートアイスクリームバーPARM(パルム)