おばあの家に晩ごはんを食べにくると、テーブルには見慣れないおかずが!? この皿に盛られている、こんがりと揚がったキツネ色の山は――
フライドポテト!?
ハンバーガーはもちろんポテトなんて……これまでにおばあが食べているところを見たことなんてない! それを夕飯に並べるとは、作ったとは思えないし……商店街の惣菜屋で買ってきたのか!?
おばあ行きつけの総菜屋なら、和洋中の種類豊富なおかずがそろっていて、ポテトも並んでいるはず。でも目の前のポテトは、買ってきたのにしては、形や色がふぞろいだし、表面は油で輝いて……どう見たって揚げたてだ!
僕が驚いていると――
向かい側からおばあの手が伸びてきて、
いびつな形のポテトをひとつ、
またひとつと口に運んでいく。
おばあは僕が来るより先に晩ごはんを食べ終えているはずなのに、手が止まらない。
そんなにおいしいのか!? と思って、久しぶりのポテトを僕もつまんで食べてみると、これは!?……おいしい!! まだ熱々で、塩加減も絶妙で、表面がパリっとしていて中はホクホク。間違いなく揚げたてだ!
それに不思議と油っこくなく、何だかフルーティーでクセになる風味が!? ひとつ食べると、もう手が止まらない。
「おばあ……このポテト作ったんか?」
そう聞かずにはいられない。すると、おばあは真顔で、
「そうや、他に誰がつくるんや」
と当然のことのように言う。
他にって……そうだけど……フライドポテトなんてどこで知ったんや、おばあ!
どうやって作り方を覚えたのか聞いてみても
「そんなん、できるわ!」
となぜかキレられた。
おばあが揚げたのなら……台所の油は、あまり安物だとおばあの脳に悪くてボケやすくなると聞いて、最近僕が全部、オリーブオイルに替えていた。まさか……そのオリーブオイルで、ポテトを揚げた!?
いても立ってもいられなくなり、台所に急ぐと――そこには!?
空になったエクストラバージンオリーブオイルの瓶が!
ちょっと贅沢すぎると思って焦ったけど……おかげで全く油っこくなく、さわやかな香りのポテトが味わえた! これまで食べたポテトの中で、味もたぶん材料費もナンバーワンだ!
他のメニューも――
いつもの生ピーマンやブロッコリーのサラダに加え、
大きな鶏肉とネギの炊いたものは、照り輝いていて、食べごたえじゅうぶん。甘辛い味がごはんにピッタリだ。さらに――
ブリの身とカマと塩焼きまであって……こんな豪華なメニュー、ひと足早くクリスマスが来たみたいやんか、おばあ!
メニュー
・オリーブオイルの手作りフライドポテト
・鶏肉とネギのテリテリ煮
・ブリの身とカマの焼いたん
・野菜
生ピーマン、ブロッコリー、茹でほうれん草、にんじん
・ごはん