おばあ得意の牛スジカレーに匹敵のおいしさ、煮込み唐揚げカレー!?

玄関の戸を開けた瞬間、今夜のメニューがわかった。スパイシーでちょっと甘くて、ごはんが猛烈に欲しくなるこの香りは、僕の大好物……カレー!!

レトルトでも激辛でも、ココ壱でも、カレーは何でも好きだけど、やっぱりナンバーワンはおばあのカレーだ!

おばあが作るカレーは、その日によって変わる隠し味に加え、具材に牛スジを使っている。牛スジはいくら煮込んでも固くならず、ダシも出て、カレーに入れると他の肉ではありえない唯一無二のおいしさになる。

しかも牛スジに醤油やニンニクで下味をつけていて、カレーにその味が染みわたって、一層ごはんが進む味になる。

ところが脂の多い牛スジは、買ってきたものを切るだけでは使えない。何度も下茹でをして『脂抜き』しなければ、カレーが脂でベトベトになってしまう。重たい鍋を持ち上げる体力が必要な『脂抜き』は、高齢のおばあには難しい作業になってきた。

さらにカレー自体を作る手間も面倒になってきたようで、最近はレトルトカレーを何パックも鍋に開け、そこに牛バラ肉などの具材を追加して煮込むという時短の方法を編み出した。

レトルトもおいしいし、牛バラ肉もいいけど、やっぱりイチから作る牛スジカレーにはかなわない!

そして今晩のカレーの香りは……レトルトじゃない! これはまさしく、おばあが長年作ってきたあのカレー!!

久しぶりの牛スジカレーを期待して、居間に向かうと――

おばあは先に食事を終えているようで、イスに座ってくつろぎながらテレビを見ていた。そして僕に気づくと顔を向け、
「カレー、自分で入れてこいや」
と司令を出す。

もちろん僕は、すぐさま台所に急行する。まずは皿にごはんをよそって、コンロの上でかぐわしい香りを放つ鍋のフタを開ける。

すると、色の濃い、とろみの強いカレーがマグマのようにグツグツ煮えている。やっぱりこの香りと見た目……間違いない! そう確信して、お玉で鍋を底からかき混ぜる。

ところが、いくらかき回してもあの具材が見つからない!? その一方で混ぜれば混ぜるほど香りが立ち上り、空腹レベルは一気に限界に向かっていく。もうたまらない! とついにカレーをごはんにかけて居間に戻る。

そして席に着いた瞬間、
「熱いうちにさっさと食べや!」
とおばあが強い口調で促す。

あらためてカレーに目をやると――
皿に盛りつけた唐揚げ入りカレー
牛スジの代わりにごろごろと入っている肉は、鶏肉のようだけど……どれも周りが何かで覆われているような……。

食べてみると、謎の具材は思った通り鶏肉だ。しかも周りについているのは、カレーを吸って柔らかくなった衣……これ、鶏の唐揚げやんか、おばあ!

台所に揚げ物をした形跡はなかったので、この唐揚げ、総菜屋で買ってきたものを一口サイズに切り、具材にしたらしい。

牛スジもいいけど……この唐揚げカレーもかなりいける! おばあ行きつけの総菜屋の唐揚げ自体、やわらかくておいしいし、それをカレーに入れて煮込むと衣がカレーになじんで、牛スジとはまたちがう味わいになる。

ようやく落ち着いて、テーブルを見ると――
イスに座ってくつろぐ祖母(おばあ)と唐揚げカレーや焼き魚など、晩ごはんのメニュー
メニュー
・唐揚げカレー
・焼き魚2種
 塩サバ、鮭のカマ
・野菜
 生ピーマン、ブロッコリー、茹でほうれん草、にんじん
・納豆
焼いた塩サバと鮭のカマ
おかずは二種の焼き魚に、
生ピーマンに生ブロッコリー、茹でほうれん草、ニンジンのサラダ
いつものサラダ、そして――
皿に入れた納豆
納豆がなぜが小皿に入れられている。これは……『納豆ものせて食べろ』というおばあのメッセージ!? 早速かき混ぜてトッピングする。
納豆を乗せた唐揚げカレー
「こうするんやろ、おばあ」
と誇らしげに言うと
「なんで納豆なんか、のせるんや!」
とどういうわけか怒られた。

だったらこの納豆、どうしろって言うんや、おばあ! とはいえ、唐揚げ納豆カレー、おいしすぎる!

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