孫に贈るおばあのバレンタインデーは、硬派なブラックチョコと甘いホールケーキ!

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おばあは季節の行事に、その日に合った料理を用意してくれる。正月や節分だけではなく、おばあが子どものころには聞いたことすらなかったはずのカタカナの行事も、今では当然のように手料理で祝っている。

とはいえ、おばあは近ごろ忘れっぽくなり、何かにつけて面倒くさがることが増えてきた。毎日欠かさなかった掃除や洗濯の頻度が2日から3日になり、ついには僕が毎日、カーペットには粘着テープのコロコロを転がし、台所は床まで拭き掃除をするようになった。

この前のクリスマスはスペシャルメニューを作ってくれたけど、恵方巻はもう手づくりではなくなったし、さすがにバレンタインデーはもう……。

期待はしないでおこう。80代の後半に突入したおばあが、料理を作ってくれるだけでじゅうぶんだ! そう自分に言い聞かせて、今晩もごはんを食べにやってくると――
バレンタインデーに料理とチョコレートを用意して待ってくれている祖母(おばあ)
「おお、来たんか!」
とおばあが明るい声で迎えてくれた。いつもは僕が来てもテレビの画面に集中しているのに、珍しく待ち構えてくれていた様子!?

テーブルに目をやると――
バレンタインデーに作ってくれた鶏のもも焼き
巨大な鶏のもも焼きが! 表面には適度な焼き色がついて照り輝き、身はふっくらとして、見るからに焼き加減は最高! しかも小さな手羽元つき! これ、この前のクリスマスにも出してくれたスペシャルメニューだ! いつの間にか『横文字の行事の日にはチキン』というのが、おばあの定番になったらしい。それはそれで大歓迎だ!

さらに、大きな丼ぶりには、
刻み昆布と豆腐の味噌汁に蕎麦を入れた味噌汁蕎麦
刻み昆布と豆腐の味噌汁――
味噌汁蕎麦の麺を具材の上に出したところ
その中に蕎麦が入った、味噌汁蕎麦!? バレンタインデーとは全く関係ない、和食の定番を掛け合わせた新メニューだけど、特別感は満載! 
生のブロッコリーやピーマンが入った、緑黄色野菜のサラダ
いつもの生ブロッコリー入り野菜サラダも、みずみずしく色鮮やかに見えてくる。

メニュー
・鶏のもも焼き~手羽元添え~
・刻み昆布と豆腐の味噌汁蕎麦
・野菜
 生:ブロッコリー、ピーマン 茹で:ほうれん草、ニンジン

そして、バレンタインデーといえば、やっぱり――
バレンタインデーにプレゼントしてくれたブラックサンダープリティスタイルと明治のブラックチョコレートと祖母の手
チョコレート! おばあは今年もプレゼントしてくれた!! 期待はしないつもりだったけど、やっぱりもらうとうれしくなる!

それにしてもこのチョコ……ブラックサンダーに、明治の板チョコのブラック! なんてシブいオトナのセンスなんや、おばあ! ビターで甘すぎない、硬派なチョイスに鼻血が出そうやで!

スペシャルな料理を平らげ、楽しみにしていたチョコを――
皿に出したブラックサンダープリティスタイルと明治のブラックチョコレート
皿にあけると――
ブラックサンダープリティスタイルを摘まんでいる祖母の手
向かい側から手が伸びてきて――
ブラックサンダーを食べている祖母(おばあ)
おばあがパクリと口に入れた! 僕にプレゼントしてくれたけど、自分でもよっぽど食べたかったらしい。

僕もビターなチョコを味わっていると
「冷蔵庫も見てみい!」
とおばあが大きな声を上げた。

急いで行ってみると、そこにあったのはなんと――
祖母(おばあ)がバレンタインデーに買ってきたホールのフルーツケーキ
ケーキ!! しかも切り分けられている三角のやつじゃなくて、フルーツたっぷりの丸いホールケーキやんか、おばあ!

チョコレートを食べた直後に、こんなの二人ではとても食べきれそうもない……と思っているのは僕だけのようで、
「さっさと切りや!」
有無を言わせない調子で、おばあの指令が飛んできた。

言われた通りにして――
バレンタインデーに切り分けたケーキ
急かされてケーキが崩れてしまっても、そんなことはお構いなしに――
ケーキを食べている祖母(おばあ)
おばあはパクパクと――
ケーキを食べている祖母(おばあ)
吸い込むように――
バレンタインデーにケーキを頬張っている祖母(おばあ)
ガブリと頬張って――
ケーキを食べ終えた後の皿
見ている方も息つく暇もなく平らげてしまった。