おばあのクリスマス・メニューは謎だらけ! ピザと鶏肉、刺身と茶碗蒸し


おばあのクリスマス・メニューは謎だらけ! ピザと鶏肉、刺身と茶碗蒸し

手羽先を焼いたものや刺身、ピザなど、おばあが用意したクリスマスのメニュー

メニュー
・鶏肉の焼いたん
・マグロとヒラメの紅白刺身
・茶碗蒸し(みやけ食品 カニ入り)
・白菜キムチ
・ピザ(ドミノでもピザーラでもない。もらった?)
・サラダ
生:イチゴ、キャベツ 茹で:ブロッコリー、アスパラガス

骨付きの鶏肉に刺し身、そして茶碗蒸し。テーブルにのっているのは、僕の好物ばかりだ。ホールのピザまである。これまでおばあの家で、ピザなんて食べたことなかった。おばあはピザという食べ物の存在すら知らないだろうと僕は思っていた。

クリスマス・イヴだから、それっぽいメニューを用意したのに違いない。曹洞宗の熱心な檀家であるおばあが、僕でもよく知らないクリスマスの意味なんて理解していないだろう。だけど暇さえあればテレビを見ている、世間の行事に敏感なおばあが、クリスマスを無視するはずがない。これまでもおばあの料理には季節感が強くあらわれていた。つまり、おばあなりのクリスマスをイメージしたメニューが、テーブルに並んでいるわけだ。

おばあは早速、テーブルの向かい側で、手づかみで手羽先にかぶりついている。

「今日はえらい豪華やなあ。クリスマスっぽいな」
僕は感心していった。ところが、おばあは顔を上げ、
「クリスマスなんて関係あるか!」
と声を荒げた。

おばあがクリスマスのディナーに出した手羽先を焼いたもの

クリスマスのための特別メニューじゃないとしたら何なんだ。去年のクリスマスも今年と同じように手羽先を焼いたものが出たけど、これはただの偶然の一致なのか。

おばあがクリスマスのディナーに用意したマグロとヒラメの紅白刺身

見るからにもっちりとした深紅のマグロと、透明感のあるヒラメの刺し身が、大葉の上にのっている。刺し身の紅白と、大葉の緑がクリスマスらしい色あいだ。山盛りの鶏肉というメイン級のおかずがあるのに、刺身まで用意したのはクリスマスの特別感をあらわしたかったからではないのか。

おばあがクリスマスのディナーにつくった、イチゴ入りのサラダ

サラダにはいつものトマトではなく、イチゴがトッピング。トマトよりも鮮やかな赤と、野菜の緑がいかにもクリスマスっぽいのに、おばあは西洋発祥の宗教行事なんて意識していないという。

おばあがクリスマスのディナーに用意した、カニ入り茶碗蒸し

茶碗蒸しには、カニ(カマボコではなく本物)まで入っている。おばあがよく買ってくる98円のやつではなくて値段が倍くらいする豪華版だ。クリスマスだからちょっと奮発した、という理由でなければ、なぜおばあはカニ入りの茶碗蒸しを買ってきたのか。

クリスマスにおばあがもらったピザ

そしてこの大きなピザは、どういうわけでクリスマス・イヴの食卓に並んでいるのだ。ピザーラやドミノピザといった宅配ピザなら、紙の箱に入っているけど、これは黒い発泡スチロールの容器に入っている。スーパーで売っているやつだ。

クリスマスらしいメニューを考えながらおばあがスーパーで買い物をしているとき、赤と緑のクリスマスカラーのこのピザが目にとまり、手に取ったのではないのか。

「クリスマスを意識してないなら、このピザは何なんや?」
僕は聞かずにはいられなかった。
「それは、もらったんや!」
とおばあはいい張る。ムキになって声を張り上げるところが何だか怪しい。
「誰がくれたんや?」
「近所の人や!」
「じゃあ、なんでその近所の人が、ピザなんてくれるんや?」
「そりゃあ……クリスマスやからやろ!」

近所にサンタクロースでも住んでいるのか、とさらに追及したかったけど、僕は口をつぐんだ。たぶんこれ以上質問すると、短気なおばあは怒りを爆発させ、口汚く僕をののしるだろう。するとせっかくの豪華なメニューも、心置きなく味わえなくなってしまう。

クリスマスにもらったピザを食べようとするおばあ

僕が黙っていると、おばあはピザに手を伸ばし、一切れつかんでかじりついた。
「思ったよりうまいな」
おばあは初めて食べたピザの感想を口にした。
「お前も食えや。冷めてまうで」

冷めるとはどういうことだろう。ホールのピザが入るような大型の電子レンジは、おばあの家にはない。僕も一切れ手に取ってみると、確かに温かい。
「フライパンで、あっためたんや」
おばあがピザを口に入れたままいった。

ピザを丸ごと、フライパンで温めたのだ。ということは、このピザを今晩、僕とおばあだけで食べ切ってしまうつもりなのか。そもそもなぜおばあは、今日のメニューをクリスマスとは関係ないというのか。ピザはやはり、おばあがスーパーで買ってきたのか。考えれば考えるほど、疑問が湧いてくる。

「さっさと食えや!」
とおばあの檄が飛び、僕はピザにかじりついた。数年ぶりに味わったピザは一口で、僕の頭の中の疑問を吹き飛ばした。

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