食欲の秋を告げる、おばあの新メニュー!熱々餃子鍋

来週から涼しく秋らしい気候になるでしょう……と天気予報では言っているけど、今日は朝から気温がぐんぐん上昇。たまらず冷房までつけていたのに、あと数日で秋らしくなるなんて、ちょっと信じられない。

食べるものも、うどんやラーメンと聞けばまだ『冷やし』が欲しくなる。だけどおばあの気分はすでに秋、どころか冬を先取りしている。

というのも、今晩の食卓に乗っているのは大きな鍋! ガラスのフタが湯気としずくで曇っていて、見るからに熱々だ。『涼しく秋らしい』日なら熱い鍋もいいけど、今日こんなの食べたら、汗だくになるのに決まってるでおばあ!

僕が何かを言うより先に、
「さっさと座って食べや」
とおばあが急かしてくる。

出た! とにかく熱いものは熱いうちに食べろという、おばあのこだわり! そういえば真夏にも似たようなことがあった。あのときに比べたらさすがに気温も下がっているし、『熱いものを熱いうちに…』というのは、おいしいものを食べさせたいというおばあの優しさでもある。

もう、汗をかいても、水のシャワーを浴びればいい! 熱さも丸ごとひっくるめて、いつものようにおばあの作ってくれたものを味わおう。そう覚悟を決めて席に着くと―ー
鍋の蓋を開ける祖母・おばあ
おばあがさっそく鍋のフタを開ける。

その中身は寄せ鍋か味噌鍋か、それともおばあの好きなキムチ鍋!? と期待していると、現れたのは――
餃子が入った鶏ガラスープの鍋
汁の見えない山盛りの具材!

ニンジンに大根に鶏肉……といろんな具材がひしめいて、汁の水面が見当たらない。それに具材の中に――
鍋の具材にした餃子
鍋物では見たことのないものが混ざっている。この白くて縮れた耳のような形の具は……餃子やんか、おばあ!

まさか、おばあの家では定番の、味の素の冷凍ギョーザ? と思ったけど、何だか丸くて微妙に形が違う。

餃子を鍋に入れた理由をたずねると、
「安かったから買うてきた」
とのこと。特売の餃子を買ってきたのはわかったけど、やっぱり質問に対する答えがズレている。かなり前からその傾向はあったけど、聞かれたことより言いたいことを話すおばあのコミュニケーションの自由さには、さらに磨きがかかってきている。

とはいえこの餃子鍋、味はよさそう。おばあは以前、大量の焼売と玉子焼きを鍋に入れたことがあったし、それに比べたら餃子くらい『ふつう』だ。

小皿に取り分け食べてみると――
小皿に取り分けた鍋の具材の餃子
餃子は皮に味が染み込みつるっとした食感で……完全に水餃子になっている。味付けは、鶏がらベースの鍋の素を使っているようで、あっさりとしていくらでも食べられる。

餃子の中はやけどしそうなほど熱く、汗が噴き出てきたけど気にせず食べすすめる。頭の中では『Runner』が流れはじめた。例の真夏の鍋のときより、心なしか音量はひかえめだ。

さらにおかずは――
皿に盛りつけた煮た鮭のアラ
僕の好物『鮭のアラの炊いたん』に、
刻み昆布とミニトマトが乗ったキャベツのサラダ
いつものサラダにはミニトマトに加え、刻み昆布まで乗っている。

メニュー
・餃子鍋
餃子、ニンジン、大根、油揚げ、こんにゃく、ごぼ天
・鮭のアラの炊いたん
・サラダ
トマト、キャベツ、刻み昆布
・ごはん

こんなご馳走を前にしたら、暑いとか寒いとかそんなことどうでもよくなってくる。

気がつけばすっかり汗だくになり、顔を上げると先に食べ終えているおばあは――
席に着いたまま居眠りしている祖母・おばあ
イスに座ったまま気持ちよさそうに寝息を立てていた。その穏やかな様子に、秋の気配を感じた。

僕はいつになく食欲がわいて、鍋の具を何度も取り分けては平らげていく。まだ秋には早いと思っていたけど、僕にも秋が来ていた。もちろん食欲の秋だ。

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