35度越えの猛暑日に、熱々のオリジナル鍋を冷めないうちに…って、なんでやねん、おばあ!

最高気温はぐんぐん上がり、暑さに強いおばあもついに先日、棚の奥にしまっていたもらいもののそうめんを夕飯に出してくれた。

しかも上に乗っているのは、半熟の薄焼きたまごと生ピーマンの千切り。ありそうでなかった黄色と緑のトッピングと一緒に念願のそうめんをすすると、蒸し暑い不快な気分が一気に吹き飛んだ。これでもう、今からやってくる本格的な夏の暑さに負ける気がしない!

なんて余裕で構えていたら……すぐに梅雨が明け、いきなり最高気温35度越えの猛暑日に。ちょっと買い物に出かけるだけで強烈な日差しが肌を刺し、全身汗だくになり、帽子をかぶらなかったことを心の底から後悔し、冷気を吐き出すスーパーの自動扉が楽園への入口に思えた。

この暑さ、そうめんを一度食べるだけで勝てるような生半可なものじゃない! 毎日でも食べないとやっていられない。それに暑いからこそ冷たい麺類が、よりおいしく感じられるはず。今晩もあのそうめんつるっとすすりたい。そこにまたおばあオリジナル・トッピングなんてあったら、もう最高!

そんな期待を膨らませておばあの家に向かうと、夕飯の食卓に乗っているのは――フタつきの大きな鍋!? まさか……梅雨明け直後の猛暑日の夕飯が、よりによって熱々の鍋!?

僕が立ちすくんでいると、
「さっさと座って食べや!」
とおばあの大声が飛んできた。

そんなに急かせるなんて『暑い日に作ったせっかくの鍋だから、冷めないうちに早く食べろ』ということなのか……って、なんでやねん、おばあ!

ひとまず席に着くと――
食卓の上の鍋のフタを持ち上げる祖母・おばあ
おばあが鍋のフタを持ち上げる。そして湯気とともに現れた中身は――
祖母・おばあが夕飯に作った切り干し大根と鶏肉とタケノコの煮物というより鍋
なんだこれ! 具材は鶏肉とタケノコ、そしてやたらと細長い……切干大根!? それが透き通った汁の中にひしめいている。

具材は鍋というより煮物みたいだけど、たっぷりの黄金色の汁は寄せ鍋みたいだ。ひとまず小皿に取り分けて、切干大根を食べてみると……これは!

噛むと染み出す汁がうますぎる! 醤油ベースの合わせダシ、そこに鶏肉の脂が加わって、上品だけど濃厚なうま味がたまらない。

皿の汁をすするだけで、ごはんがすすむ。煮物と鍋の中間のようなこの料理、柔らかな鶏肉や、タケノコと切干大根の噛み応えのある食感もいいけど、主役は黄金色のこの熱い汁! 汗が噴き出してくるけど、食べ進まずにはいられない!

さらに別の皿には――
皿に盛られたイワシとサバの煮付け
イワシとサバの煮付が同時に乗っている! それにいつものサラダには―
キムチをトッピングしたトマトやキャベツのサラダ
真っ赤なキムチがトッピングされ、ごはんに合うおかずのオンパレードだ!

食べれば食べるほど、食欲は落ち着くどころか加速し続け、ランニングをすると決まって頭の奥から聞こえてくる『Runner』が、切干大根やキムチを噛むリズムに合わせて流れはじめた。

流れる汗もそのままに食べ終えると、一気に爽やかな気分に……なるわけもなく、汗はまったく止まらない。たまらずエアコンのリモコンに手を伸ばし、設定温度を28度から26度に下げた。

寒がりのおばあと、いつもは設定温度のことで言い争うことになるけど、今日ばかりは『物言い』はつかない。さっきからテレビに目を向けたままだけど、見て見ぬふりをしてくれてるんやろ、おばあ!

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