おばあが攻める!初の料理が2品も!マ・マーのミートソース・スパゲティーとカニカマ豆腐

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・ミートソース・スパゲティ
トマト、〈マ・マー ミートソース マッシュルーム入り〉、〈マ・マー スパゲティ 1.6mm〉
・カニカマと豆腐の炊いたん
カニカマ、豆腐
・煮もの
大根、ねじりこんにゃく
・野菜
生:トマト、キャベツ 茹で:ブロッコリー、アスパラガス、ほうれん草

夕飯の席につこうとする僕を、台所から呼ぶ声がした。行ってみるとおばあが、お湯が沸き立つ鍋の前で立ちすくんでいた。手には黄色っぽく細長い、乾麺のたばを持っている。パスタだ! おばあがパスタをつくろうとしている!

この前の土曜日の夕飯どきに、見ていたテレビ番組でパスタをつくっていて、僕も久しぶりパスタを食べたいと何気なく口にしたのだった。おばあは何もいわなかったけど、しっかり聞いていたのだ。そして僕の希望を早速、叶えてくれようとしている。

「これを湯がくには、そうめんみたいにただ、湯に入れたらええのか」
「そうや、そうめんと同じや」
と僕は答えた。おばあは「お前のために」とか、「うれしいか」とか押し付けがましいことは一切いわない。いつもと変わらず淡々と、パスタのつくりかたを聞くだけだ。僕もそれに応え、ありがたがる素振りは見せないように心がける。

麺を鍋に入れ、〈マ・マー スパゲティ 1.6mm〉の袋に記載されている茹で時間7分をタイマーにセットした。その間にソースをつくる。おばあが買ってきた〈マ・マー ミートソース マッシュルーム入り〉の缶を開ける。中身を皿に移して電子レンジでチンしてもいいけど、麺を茹でている鍋の隣では、空のフライパンが熱せられている。温めるだけで食べられる缶入りのソースを、フライパンで調理しなければいけないとおばあは思っているらしい。せっかくなので具材を追加することにした。

冷蔵庫を開け、ミートソースに合いそうな具材を探す。トマトがあったので刻んでフライパンに投入。水分が飛びとろみが出たところで、ソースを入れて温める。トマトを切るところからおばあに任せ、僕は鍋を見ていた。タイマーが鳴ったところで麺ををザルに移し、2つの皿にわけて盛る。その上からあつあつのソースをかけて完成だ。

パスタの皿を持って居間に行くとテーブルには、煮ものと野菜、そして赤と白の混ざった見たこともない料理が並んでいた。
「カニカマと豆腐を炊いたんや」
とおばあは答える。最近の新聞にレシピがのっていたそうだ。はじめてつくるパスタに、はじめてつくる料理を合わせるおばあのチャレンジ精神は見習うべきところだ。合うかどうかは別としておばあが得意とする煮ものがあるのは、他が失敗したときの保険的な意味合いがありそう。昨日の残りものを何も考えずに並べただけかもしれないけど。

パスタは懐かしいミートソースの味がする。パスタという呼び名より、僕の子どものころのようにスパゲティーと呼びたくなる。追加したトマトは、おばあが甘めのやつを買っていたお陰で、しっかりとした甘味とほのかな酸味を加えていていい感じ。

ところがおばあは顔をしかめ、
「これは……ちょっと食えんわ」
口に合わないらしい。規定の時間茹でた麺は、おばあが苦手な固めのアルデンテだし、普段はサラダでしか食べないトマトを、食材として使った料理の味に馴染みがないのだろう。一方、カニカマ豆腐はおいしそうにかき込んでいる。

僕も箸をつけてみる。たっぷりのカニカマ、そして豆腐の組み合わせは悪くない。でも、塩辛い。カニカマはそのまま食べても酒の肴になるくらいしっかりと味がついているのに、それを考えず醤油と塩を入れているようだ。ごはんのおかずとしてなら、もう少し食べられたかも。そう思いながら、僕はスパゲティーを再び食べはじめた。

おばあと僕はたいてい、テーブルに並んだ料理は完食する。だけど今日は、おばあはスパゲティーを、僕はカニカマ豆腐を残して夕飯を終えた。僕はおばあに、今度はごはんのときにもう少しうす味のカニカマ豆腐をつくって欲しいと伝えた。そのかわり僕は別の日に、和風パスタをつくって食べてもらおうと思う。もちろん麺はアルデンテじゃなくて柔らかめだ。