おばあの調理技術、ここに極まる!豚肉とじゃがいもだけの、白い肉じゃが


おばあの調理技術、ここに極まる!豚肉とじゃがいもだけの、白い肉じゃが

メニュー
・厚切り豚白肉じゃが
豚バラ肉、じゃがいも
・たまご焼き
たまご、青ネギ
・みそ汁
豆腐、わかめ、青ネギ
・野菜
生:トマト、キャベツ 茹で:ブロッコリー、アスパラガス、ほうれん草
・ごはん

「東京の方で、子どもらが800人も食中毒になったんやて!」
僕が夕飯の席につくなり、おばあがいった。

子どもや若い世代が苦しむニュースを見聞きして、おばあはいつも心を痛めているようだ。おばあの同世代以上が交通事故の被害にあったというニュースを見ても、ひいたほうが若ければ、その若者の将来を思って同情するようなことをいう。

若い世代のことを心配するのはいいけど、夕飯を食べる直前に、よりによって食中毒の話をするのは勘弁してほしい。

僕はおばあから毎年、風邪をうつされているのではないかと疑っている。おばあは咳やくしゃみをするとき、口を手で覆ったりしない。料理前に手を洗っているかも怪しい。そして毎年、おばあが風邪をひいた後、僕が後を追って風邪をひいている。状況証拠は揃っている。料理を通じておばあの風邪のウィルスが僕にうつっているのだ。

今のところ、高熱でダウンするようなことはないものの、風邪がうつるなら食中毒がいつか起こるかもしれない。いくら手洗いの重要性や、咳やくしゃみのマナーを伝えても聞き入れてくれないので、僕はもう諦めて、おばあの衛生観念については考えないようにしている。

とにかく腹が減っているので、僕はまず肉を煮たものに箸をつけた。すると、
「給食に入っとった肉があかんかったんやで。肉が悪くなっとったから食中毒になったんや!」
おばあはテレビを見ながら恐ろしいことをいう。なぜおばあは、テーブルの向かい側で僕が夕飯を食べているのに、そんな話をするのだろうか。若い世代のことを心配するなら、身近にいる自分の孫のことを考えてほしい。まさか、僕が嫌がる顔を見て楽しんでいるのか。

僕はしゃべり続けるおばあの言葉の意味は考えず、ただ目の前にある料理に集中した。箸でつまんだ肉は、豚バラ肉のようで、細切れではなく厚みがあり、色がうすい。塩だけで茹でたのだろうか。そう思って口に入れると、甘い! そのあとから適度な塩気と醤油の風味を感じる。醤油とみりん、砂糖、酒を使った典型的な和食の煮ものの味がする。醤油は色のうすい、うす口醤油を使っているのだろう。味付けで豚肉のおいしさが引き立っている。

半分に切った大きなじゃがいもも、ほとんど色がついていない。まったく煮崩れしていないのにやわらかく、口に入れるとばらばらにほどける。味付けにじゃがいも自体の甘味が加わり、厚切りの豚バラ肉とよく合う。そしてごはんが欲しくなる。

そうか、これは肉じゃがだ。にんじんも玉ねぎも入ってないし、醤油の色もついていないからわからなかったけど、口に入れれば、しっかりと肉じゃがだと感じられる。肉じゃがの最低限の要素だけを残し、具材も調味料も色でさえ、これ以上ないくらいに削ぎ落としてある。しかもうまい。和食の基本の調味料の微妙なさじ加減、じゃがいもを煮崩れせずやわらかく煮る技術は、おばあの調理経験があってこそ可能なものだろう。

自分が食べているものは、最低限のものしか入っていないピュアな肉じゃがだ。そう思うと、おばあがなぜ今、食中毒の話をするのかわかった。おばあはただ純粋に、東京の800人の子どもたちが心配でたまらないのだ。それ以上でもそれ以下でもない。まして僕への嫌がらせなんてとんでもない。僕がその話題に対してどう思うかなんてまったく考えていないだろう。

すぐに肉じゃがの皿が空になった。僕は台所に行き、おかわりして席に戻った。するとおばあは向かいの席で、
「うまかったか」
といって嬉しそうに笑った。

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