ホワイトデーにおばあがインフルエンザ!?筑前煮と大根おろしとビフィズス菌チョコレート


ホワイトデーにおばあがインフルエンザ!?筑前煮と大根おろしとビフィズス菌チョコレート

メニュー
・筑前煮
鶏肉、にんじん、ごぼう、れんこん
・大根おろし
大根、じゃこ
・みそ汁
白菜、豆腐、わかめ、たまご、青ネギ
・サラダ
生:トマト、キャベツ 茹で:ブロッコリー、アスパラガス、ほうれん草
・ごはん

おばあは昨日、体の調子が悪そうだった。薬局で風邪薬でも買ってこようかときいても一晩寝れば治るといい張るし、翌日に必ず病院に行くと約束したので、僕は夕飯を食べ、久しぶりに食器を洗ってから自宅に帰った。

そして今日、夕飯を食べにきてみると、おばあの顔には血の気が戻り、両目の充血もなおっている。ほんとうに一晩寝ただけで、体調が回復しているようだ。82年も生きてきただけあって、風邪くらいなら簡単になおすすべを身に着けているのかもしれない。

昨晩のメニューは手軽にできる冷凍の餃子とパックの納豆だったけど、今晩のメインはつくるのに手間暇のかかる筑前煮だ。根菜と鶏肉を切り、軽く炒めてから醤油や砂糖などで煮込んである。固いれんこんやごぼうは適度な歯ごたえ、うす切りのにんじんは噛まなくていいほどやわらかい。ふっくらとした大きめの鶏肉には芯まで味が染みている。

隣の皿に、じゃこがのった大根おろしが盛られている。大根はすりおろすのに力がいるし、気をつけていないとおろし金で手をすって怪我をしてしまう。大根おろしが出てきたということは、おばあに力と集中力が戻り、元気になったということ。ポン酢をかけて口に入れると、いつもより大根の甘味が際立っているように感じた。

先に食事を終えたおばあが席を立ち、台所から褐色の液体が入ったプラスチックのボトルを持ってきた。病院で処方される飲み薬だ。おばあは今日、僕との約束通り、病院に行ったらしい。

おばあは薬のボトルのメモリを確かめ、空の湯呑みに中身を注ぐ……のかと思いきや、そのままボトルに口をつけて少し飲んだ。中で雑菌が繁殖するからそういう飲み方はあかん! と僕が注意するより先におばあは
「インフルエンザやったわ」
病院での診察結果をつぶやいた。

毎年おばあは、インフルエンザの予防接種を受けている。それでもインフルエンザにかかる場合があると聞いたことがある。ただしおばあは予防接種を受けていたことで症状が軽く、高熱が出ることは防げたようだ。おばあはすでに全快にちかい。

それなら僕も、感染しているのだろうか。今年、予防接種は受けていない。症状が出たら、高熱にうなされて寝込むことになるのか。おばあがしっかりと素手で握ってすりおろした大根おろしが、口に入れてはいけないもののように思えてきた。

おばあがインフルエンザにかかって回復した数日のあいだも、僕はおばあの手料理やおにぎりを食べ続けてきた。もう今さら食べるのをやめても同じことだ。覚悟を決め、残りの大根おろしをかき込んだ。

すべての料理を平らげ、僕はカバンから〈Cacao70 ビフィズス菌チョコレート〉と記載された小箱を取り出した。2月14日におばあがチョコレートをくれたので、ホワイトデーのお返しだ。

このチョコレートは体にいいカカオの割合が多く、一箱にビフィズス菌が100億個ほど入っているという。昨日、おばあの体調がすぐれなかったので、少しでも体に良さそうなものを、近所のダイエーで買ってきた。

チョコレートに目がないおばあは早速、箱を開け、ひと粒を手にとってかじった。すると、
「苦いわ、これ!」
と叫んだ。そして半分になったチョコレートを口に入れようか迷った様子でしばらく見つめ、結局口に放りこみ、顔を歪めた。

おばあは席を立ち、台所から別の小箱を持ってきた。
「チョコレートはな、苦いのはあかん! 甘いからええのや!」
そういって箱を開け、僕に見せつけるように個包装の紙をゆっくりと開いた。中に入っていたのは、真っ白なホワイトチョコレート。これならカカオの割合は0%、苦味はまったくないだろう。

おばあがもう見向きもしない〈Cacao70 ビフィズス菌チョコレート〉をひとつ、僕は口に入れた。たしかに苦くて甘さは控えめ。甘党のおばあの口に合わないのもわかる。それにおばあは見た限り健康なので、このチョコレートは必要ない。

健康に気をつけないといけないのは、僕のほうだ。おばあからうつされているはずのインフルエンザウィルスが、いつ体の中で暴れはじめるかわからない。考えれば考えるほど怖くなって、自分で買ってきたチョコレートを5つほど一気に食べた。

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