おばあが山奥で採っていた。生しいたけと乾燥ぜんまい、こんにゃくの煮物


おばあが山奥で採っていた。生しいたけと乾燥ぜんまい、こんにゃくの煮物

メニュー
・おばあの里の煮物
生しいたけ、乾燥ぜんまい、こんにゃく、たけのこ
・ブリの照り焼き
・みそ汁
わかめ、豆腐、白菜、青ネギ
・野菜
ブロッコリー、キャベツ、アスパラガス、ほうれん草
・ごはん

食卓につこうとすると、 「台所にお札を貼った」とおばあがいう。僕は嫌な予感がして、台所に急いだ。たしかにお札が貼ってある。昨日おばあが初詣に行った『かまど神』、清荒神のお札だ。これが台所の厄を払って、今年もおばあの料理が食べられるというのだから、僕としてもぜひ貼ってもらいたい。

問題なのはお札の場所。換気扇フードの横、天井に近いところに幅広のセロハンテープで貼り付けてあるのだ。その作業をおばあがやったのなら、イスより高い台に乗らなければ手がとどかない。

おばあは2ヶ月ほど前、イスに乗り、部屋の壁に手づくりの飾りを取り付けようとして転倒した。そのとき僕はおらず、おばあが足が痛いというので理由を聞いて判明した。大きな怪我ではなくてよかったものの、高齢になるとただでさえ転びやすいのに、イスの上で作業するなんて危険すぎる。筋肉もつきにくいので、骨折して体が動かせなくなるとその後は一生、寝たきりになってしまうかもしれない。僕も困るけど、いちばん大変な目にあうのはおばあ自身やんか!

高い場所の作業は僕がやる。そう2ヶ月前に約束したばかりなのに、全然おばあは懲りていない。それどころか自ら、高い場所にお札を貼ったと僕に告げた。プライドの高いおばあは、僕に注意されたことが気に食わず、根に持っているらしい。また注意しても聞き入れないだろうし、ますます反発して無茶なことをやりかねない。

とりあえず腹が減っているので食卓についた。まずはしいたけの煮物に箸をつける。大きくてぶ厚く、味もしっかり染みている。いつものしいたけとは全然ちがう。「それは生のしいたけや」。おばあがいう。「たけのこは自分で冷凍しとったんやけど、残りはぜんぶ、里から送ってきたやつや」。

おばあのふるさとは、愛媛の山奥。存命の弟が山の幸を送ってきたらしい。しいたけはクヌギの原木に、小さく白い種菌というものを植え付けて栽培する。こんにゃくは収穫したこんにゃく芋から。ぜんまいというのは先が丸まったシダの一種で、春先に採ったものを乾燥させると保存がきく。

おばあは子どものころ、弟と一緒に暗いうちから山に入った。昼を食べに家に帰り、また暗くなるまで山で、しいたけやぜんまいなんかを竹のカゴがいっぱいになるまで収穫した。おばあが珍しく昔のことを語る。なぜかと聞くと、「だから、ずっと山を歩いてたんや!」と声を荒げた。

今でも足腰は丈夫だから、台所のお札くらい自分で貼れる、と言いたいのだ。『かまど神』と子どものころのおばあの頑張りに免じて、今日はもう何も言わないことにした。いつの間にか玄関の上に取り付けてあった正月のしめ飾りは、明日こっそり僕が外しておこう。

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