朝、布団から出るのがつらい。いよいよ本格的な冬の到来だ。
ここで油断していたら危ない。毎年、僕はこの時期に風邪をひく。布団に毛布をもう一枚追加するとか、分厚いフリースを出すとか、ちょっとした冬支度を面倒くさがって後回しにするからだ。
そういえば、もうすでに喉がイガイガしている。
これはまずい! 食べるものも、体が芯から温まるものを用意しなければ!
この前は――
土鍋で熱々の“粕汁鍋”を作った。
また鍋にするのもいいけど、喉が痛いということは、僕はすでに風邪をひきはじめている。だったらここは、消化が良くて温まる、雑炊にしよう!
というわけで――
ヒガシマルの『ちょっとぞうすい』を買ってきた。
僕の調子が悪い時、おばあもこれで雑炊を作ってくれた。おばあもいろんな具材を入れてくれたけど、特に好きだった具が、おにぎりと同じくやっぱり定番の鮭!
今回は幸い、この前の――
鮭とアボカドのホイル焼きを作ったときにあまった、
北海道産の生の秋鮭の切り身が冷凍してある。
具材のメインはこの鮭に決定! ほかにも冷蔵庫の中のものをいろいろ入れて、具だくさんで栄養満点にして、免疫力を爆上げして風邪なんて吹き飛ばしてやる!
野菜は――
安くなっていた金時ニンジンに長ネギ、それにセロリを葉っぱごと一本入れてみる。
最近、メニューにセロリばかり入れているのは、セロリが好きということもあるけど、小松菜とかキャベツとか、ほかの葉物野菜が値上がりしているから。ところがセロリは、ひとパック3本ほどが100円くらいで売っている。
食材はその時期の安いものを有効活用して、節約するのも自炊の醍醐味だと、自分で料理するようになってわかった。たぶんおばあもそうやって、思いがけない組み合わせの料理を生み出していたにちがいない。
それにしても、気合を入れて具材を用意しすぎて……これ、できあがる前から、もはや“ちょっと”と呼べる代物ではなくなって……なんてツッコむのは、完成するまで置いといて、さっさと調理にとりかかろう!
具材栄養満点!ちょっと??雑炊を作る
調理はまず、水を(量は勘です)沸騰させた鍋に――
金時ニンジンを食べやすい大きさに切って入れ、
大根と玉ねぎは皿に入れて、電子レンジで2、3分加熱。
それを――
適当な大きさに切った長ネギや、セロリの芯の部分やもやしと一緒に鍋に投入。これをしばらく煮たところに――
生玉子を割り入れて――
ごはんを入れて軽くかき混ぜる。そこに登場、メインの具材――
鮭の切り身を凍ったまま入れ、セロリの葉の部分やシイタケを加える。
さらに――
味付け海苔を5枚ほど乗せて、そのままふやけさせる。
そしてフタを……って、おっと、忘れるところだった。冷蔵庫に残っていた――
豚肉の切り落としを加えて、火が通ったところで――
『ちょっとぞうすい』をひと袋入れて味付け。
あとはフタをしてしばらく炊けば――
できあがり! このままだと、見た目はちょっと……だからこそ、盛り付けはできるだけおいしく見えるよう――
鮭の身はほぐさずに、切り身を丸ごとトッピング。そこにオリーブオイルを回しかければ、セロリもたっぷり入っていて、洋風のリゾットに見えなくもない。
これでほんとに完成だ!
メニュー
・ちょっと??鮭雑炊
具:鮭、豚肉、玉子、玉ねぎ、味付けのり、長ネギ、金時ニンジン、シイタケ、セロリ
味付け:ヒガシマル『ちょっとぞうすい さけ』
それでは――
いただきます……の、その前に、やっぱりこの、おばあから受け継いだ大きなカレー皿からあふれんばかりの量! “ちょっと”どころか、大盛り雑炊になってもうたで、おばあ!
これだけ大量の雑炊、一度に食べるのははじめてかも。
では、あらためまして――
くずした鮭の身とごはんを一緒に、いただきます!
勢いよく口に入れると……熱いっ! 久々で忘れていたけど、とろみのある雑炊は冷めにくく、想像以上に熱々だ。
フーフーしてから味わうと、ふっくらとした鮭の身が、ごはんにたまらなく合う! 量が多くなりすぎて、『ちょっとぞうすい』の味がうすまっているかと思ったけど、詰め込みまくった食材から出たダシがひとつになって、ひとくち目から奥深いうまみが押しよせる~!
さらに食べすすめると、すぐに体が芯から温まってくる。これで風邪なんて、どこかに吹き飛んでしまうのにちがいない。
介護施設にいるおばあにも食べさせられたら……。だけど外から持ち込むものは、誤嚥性肺炎のリスクがあるから口にできない。
だったらせめて、この写真を見せて、感想を聞こう。おばあはパーキンソン病で言葉を発しにくくなっているけど、僕が『ちょっとぞうすい』を使って、山盛りの鮭雑炊を作ったのを見せたら、「“ちょっと”とちゃうやんか」とツッコんでくれるはず。
もし言葉が出なくても、少しでも笑顔になってくれたらそれでいい。ということを期待して、明日もおばあが暮らす介護施設に行ってくる!