商店街の魚屋で特売だった旬のサンマとイカ! それで前回、作ったのが――
マ・マーのミートソースに具材を加えたお手軽海鮮パスタ。
僕の祖母、おばあも以前、このミートソースをアレンジして、見たこともない絶品パスタを作ってくれた。そのことを思い出し、自分も具材を加えた“ほぼオリジナルパスタ”に挑戦したのだった。
結果は、想像以上のおいしさで大成功! しかも特売の食材とマ・マーのミートソースだから安上がり。
それに味をしめ、また特売の食材を求めて魚屋に行くと……あった! いつになく大物の――
北海道産の生の秋鮭! この特大サイズの半身が、なんと800円台。さらに――
生のタコが500円。これは絶対お買い得! と早速手に取りーー
他の食材もあわせて買ってきたものの――
巨大な鮭の切り身は、適当な大きさに切り分ければ、調理できるけど――
生のタコは“塩もみ”して、下処理しないと食べられない……なんてことは知っているけど、実際どうすれば……。
そういえば、おばあはタコといえば――
↑の記事みたいに酢の物をよく作ってくれた。でもいつもボイルのタコだったし、生のタコを調理しているところは見たことない。
困ったときは、ネットで検索……するのもいいけど、 おばあはネットはおろか料理本すら見ることなく、はじめての料理でもフィーリングでおいしく作っていた。
僕も直感で試行錯誤してこそ、おばあのような料理上手に近づけるはず! まずは自分が思う通りにやってみよう!
生のタコを目の前にして、たじろいでる場合じゃない。ようは余計な部分を取り除き、汚れやぬめりを落として食べられるようにすればいいだけだ!
と気合を入れ、なんとなく知っている情報を頼りにやったことをまとめると、
意外と簡単!?タコの塩もみ
①頭をえらの穴から裏返して内臓を取る
②固い目と、足の中心にある口を取り除く
それから――
③塩を多めにまぶし、全体をもんでぬめりと汚れを落とす
④吸盤は汚れがたまっているので、入念に指を使ってもむ
⑤汚れが出るので、何度も水を替えてゆすぐ
こんな感じで“塩もみ”をすると――
汚れとぬめりがとれて、なんとかなった!?
ダシが最高! タコと大根と野菜の炊いたん
調理方法は、おばあが得意な“イカ大根”……ならぬ“タコ大根”にしようと――
大根を切ったけど、ほかの野菜も一緒に鍋に入れて具だくさんの“炊いたん”にすることに決定。
ちょっと前なら、事前に決めたメニューを作るだけだった。でも最近は、成り行きまかせでなんとかなるようになってきた。このまま臨機応変になんでも作るおばあに、少しでも近づきたい。
というわけで、鍋にはまず――
水を500mlくらい入れ、だしパックを投入。それから醤油、酒、みりん、砂糖を、味見をしながらだいたい大さじ2~3くらい入れる。
その鍋の中身が沸騰したら、タコを入れると――
足の先が丸まってこんな状態に。
たしかタコは、しっかり熱を加えると柔らかくなって、食べやすくなるはず。今回はじっくり30分以上煮ることにした。
それから、野菜は火が通るのに時間がかかるニンジンや玉ねぎを先に入れ、大根はやわらかくなるまで電子レンジで5、6分ほど加熱したものを加える。
葉物野菜やキノコ、わかめなどはすぐに火が通るので、最後に追加。あとはフタをして炊けば――
できあがり!
北海道産生秋鮭のホイル焼き
つづいて生の鮭は、切りわけたものをホイル焼きにする。それに冷蔵庫に――
やわらかくなったアボカドをひとつ発見。アボカドとサーモンは相性がいいので、これを生の鮭と一緒に――
アルミホイルに乗せる。2つあるのは、翌日の昼用も一緒に作ったから。
下味として――
ベトナム土産でもらったレモン塩と“あらびきコショー”をふりかける。そして――
アルミホイルで包んでフライパンでしばらく焼く。焼き加減を見て、途中で2回ほど裏返す。そうして――
こんな感じに焼きあがった。さあ、これにマヨネーズをかけて完成だ! と思っていたら……ない!
しまった! マヨネーズを買い忘れていた……。仕方がないので――
買い置きしてあった、“あらびきマスタード”を思い切ってかけてみた。まずくはないと思うけど、はたして……。
そしてできあがったのが――
野菜たっぷり! 今晩の献立
メニュー
・タコと大根と野菜の炊いたん
タコ、大根、三つ葉、小松菜、ニンジン、玉ねぎ、シメジ、マイタケ、ワカメ
・秋鮭とアボカドのホイル焼き
・ごはん(もち麦入り)
まずは――
炊いたんのタコからいただきます! 噛むとほどよい弾力で、味がしっかり染みている。つづいて大根をほおばると、レンチン効果で芯まで柔らかく、煮汁がじゅわっとあふれる。
それにしても、この煮汁……うまみがすごい! だしパックや野菜、それにタコから出たうまみが合わさって、飲み干したくなるおいしさ。調味料を気持ちひかえめにしたから、ダシの味が引き立っている。
さらに、この味ー―
ごはんとの相性もばっちり。具材を食べたら、シメはごはんを煮汁に投入して雑炊風にしてやる! ただ、それまでに茶碗一杯ぶん、食べてしまうのは確実。「ちょっと食べすぎやで」と、おばあがいたら警告されそうだけど、もうすっかり“食欲の秋”だし今日くらいは気にしない!
そして味付けが気になる――
鮭のホイル焼き。箸を入れると身はふっくら、皮はパリっと焼き加減はちょうどいい。あらびきマスタードを、恐る恐る……なんてことはせず、ここはいきなりマヨネーズ感覚でたっぷりつけて……パクり!
これは!? マスタードの酸味と、鼻にぬける辛さで、秋鮭のおいしさが加速する! すぐさまアボカドを口に放り込むと、独特のねっとり感が鮭とマスタードと合わさって、まさに三位一体。
アメリカのベーグルかサンドイッチみたいな組み合わせだけど、ごはんがすすむ味だ。
こんな意外な組み合わせを見つけたとき、おばあだったらなんて言うか聞いてみたい。マスタードなんて、おばあはたぶん味わったことないから酷評する気もするけど、“からし”と思えば、けっこう好きかも。
ただ、この鮭が口に合わなくても、タコの炊いたんはきっと気に入ってくれる! だからこの献立、そのまま介護施設にいるおばあに食べさせたい。今は無理だけど、いつか僕の料理が食べられるようになったときに、点数付けてや、おばあ!