大阪のおばあも喜ぶ東京土産「横浜名物 崎陽軒のシウマイ」

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僕は昨日、東京での仕事を終え、おばあが待つ大阪に帰ってきた。品川駅から新大阪駅に向かう新幹線の車内で食べたのは、崎陽軒のシウマイ弁当。

近ごろおばあがシュウマイにハマり、晩ごはんにしょっちゅう出すので、僕もそのおいしさに改めて気づかされた。そこで東京出張が決まったときから、大阪では手に入らない崎陽軒の“シウマイ”を、是非とも味わってみたかったのだ。

小ぶりなシウマイはほどよい弾力があり、豚肉や粗びきにしたホタテの貝柱のうま味が凝縮していた。発売から90年以上愛されてきたのもうなづけるおいしさで、隣の席のビジネスマンがパソコンのキーを叩き続けているすぐ横で、僕は夢中で平らげた。

そして今晩、このシウマイをおばあにも食べさせてやる!

僕は土産用のシウマイも、品川駅の売店で買ってきていた。シュウマイ好きのおばあもきっとよろこんでくれるに違いない。晩ごはんには、おいしい土産を持って行くので、メインのおかずは用意しなくていい、とおばあには伝えてある。もちろん、先にひとりで晩ごはんを食べるのもダメだと念を押しておいた。

今晩食べてもらわないと、賞味期限が切れてしまう。そんなの多少切れていても、おばあなら日常茶飯事なのでお腹を壊さないだろうけど、今回ばかりはベストな状態で食べてもらいたい。

頑固なおばあは大抵、僕のいうことには耳を貸さない。でもわざわざ東京でおいしいシウマイを買ってきたと聞けば、いう通りにしてくれるはず。何しろおばあは食べることが生きがいだし、大好きなシュウマイならなおさらだ。だからおばあは、普段よりも控えめな品数の料理を並べ、箸をつけずに僕が来るのを待っていてくれるだろう。

そんな確信に近い思いを抱いて、居間の戸を開けた。するとテーブルでは――

崎陽軒のシウマイが入った袋

おばあがすでに晩ごはんを食べていた。しかも――

「揚げずにからあげ」を使った鶏の唐揚げや煮物など、祖母が食べたところ

ほとんど食べ終えてるやんけ! それにメインのおかずはいらないといっていたのに――

ヒガシマル「揚げずにからあげ」を使った、鶏の唐揚げ

鶏の唐揚げ(得意の「揚げずにからあげ」を揚げたやつ)まである! 僕も好物だからいつもはありがたいけど……こんなん食べてたらシウマイが入らへんやんか!

「お土産があるから、先に食べたらあかんていうてたやん!」
僕が思わず声を上げると、
「はあ、そうやったかなあ」
おばあはこちらに目も向けず、とぼけた口調でいった。だめだ、完全に忘れていたらしい……。さらにおばあは、
「ああ、もう食われへんわ」
といって腹を両手でパンパン叩く。なんということだ。もう腹がいっぱいだなんて……。

こうなったら僕が目の前で食べるところを見せつけてやる! いくら満腹でも崎陽軒のシウマイを目にすれば、おばあも食べずにはいられないぞ!

崎陽軒のシウマイが入ったパッケージ容器

“横浜 名物 シウマイ”と書かれた赤い包みを破り、

崎陽軒のシウマイの内蓋に書いてある歴史の説明

崎陽軒の歴史とシウマイのおいしさの秘訣が載ったフタを開けるとーー

崎陽軒 昔ながらのシウマイ 15個入

小ぶりなシウマイが15個現れた。昨日の弁当には、これが5つ入っていたのだ。

崎陽軒「昔ながらのシウマイ」についている陶器の醤油入れ

醤油差しはかわいらしい顔が描かれた陶器製。

品川駅で買ってきた崎陽軒のシウマイ

シウマイを皿に取り、電子レンジで温めると――

崎陽軒のシウマイを皿に盛りつけたところ

豚肉とホタテの食欲をそそる香りが立ち上り、冷めていたときよりもふっくらと柔らかくなった。さっそく箸を取って、食べようとすると、
「どれ、ちょっと味見したろ」
とおばあが手を伸ばしてきた。

ほら来た! おいしいものが好きなおばあがハマっているシウマイを無視できるわけがない。僕がシウマイを差し出すとーー

崎陽軒のシウマイを摘まむ祖母(おばあ)の手

おばあはひとつ手でつまみ、

崎陽軒のシウマイを摘まんで、からし醤油につけているところ

からし醤油にちょっとつけて、

崎陽軒のシウマイを頬張った祖母(おばあ)

ぱくりとほおばった。そしてゆっくりと味わうように、総入れ歯の口を動かしている。
「どうや?」
と感想を聞くと、おばあは、
「まあ、いけるな」
素直においしいとはいわないところが、ちょっと憎たらしい。それでもまた伸ばしてきた手が、本心を物語っている。

僕はここで、すんなりとおばあの要望に応えるのはしゃくだったので
「もう、腹いっぱいっていうてたな」
とシウマイの皿をひっこめた。

崎陽軒のシウマイや「揚げずにからあげ」を使った唐揚げなど、祖母(おばあ)が作った晩ごはん

メニュー
・崎陽軒のシウマイ(「昔ながらのシウマイ」15個入り) 
・鶏の唐揚げ(ヒガシマル「揚げずにからあげ」使用)
・アスパラのハム巻き
・茶碗蒸し(みやけ食品)
・煮物

タケノコ(冷凍)、フキ(冷凍)、厚揚げ
・酢ゴボウ
・サラダ
生:トマト、玉ねぎの醤油漬け、キャベツ 茹で:ブロッコリー、アスパラガス
・ごはん

あらためて見ると、おかずの種類の多いこと。さっきはさんざん心の中で悪態をついたけど、これだけ用意してくれてありがとう。そう感謝せずにはいられない。まずはシウマイよりもアスパラのハム巻きに箸を伸ばす。

するとまた、おばあがそっと手を伸ばしてきた。ほら来た! おばあのことだから、簡単にはあきらめないとわかっていたよ!

僕がシウマイを差し出すと、おばあは黙ってまたひとつ摘まんで口に入れた。

結局、おばあは4つシウマイを平らげた。本当はもっと食べて欲しかった。でも、大丈夫。まだ5つ、おばあのぶんはちゃんととってある。

「シウマイはまだラップして冷蔵庫に入れてあるから、明日の昼にでも食べや!」
僕がいうと、おばあは深くうなづいた。賞味期限が切れるけど……まあいいや。

崎陽軒のシウマイをラップで包んで保存するところ