高血圧のおばあ、ついに減塩!? エバラ「キムチ鍋の素」だけでつくるキムチ鍋


高血圧のおばあ、ついに減塩!? エバラ「キムチ鍋の素」だけでつくるキムチ鍋

祖母(おばあ)がつくったキムチ鍋を真上から見たところ

おばあが土鍋のフタを開けると、白い湯気が立ち上った。顔を近づけていた僕の眼鏡がくもり、白くかすんだ視界のむこうに赤く染まった具材が見えた。キムチ鍋だ。80代の高齢者と運動不足の30代しかいないのに、大きな土鍋にたっぷりと豚肉やシメジ、春菊などが入っている。僕ら2人では到底、一度に食べきれない量だ。白菜キムチの姿が確認できないけど、底のほうで層をつくっているのに違いない。

おばあはキムチを食べ過ぎる。買ってきたパックのままテーブルに出すと、底のほうから箸でごっそりつかんでごはんに乗せ、孫の僕でも追い付かないような勢いで一気にかき込む。そしてまた、味の濃い真っ赤なキムチに手を伸ばす。

おばあは毎食後、降圧剤が欠かせないほど血圧が高い。たぶんこれから死ぬまで薬を飲み続けるだろう。そうなった原因は単純。高血圧の大敵、塩分が多いものが好きだからだ。特に塩辛い漬物には目がない。中でも、塩味に唐辛子の刺激と動物性のうま味が加わった、味の濃いキムチがお気に入りなのだ。

買ってきたパックのままだと、おばあはついつい食べ過ぎてしまう。高血圧には減塩が効果的だし、キムチは控えたほうがいいと僕は毎日のように根気強くいい続けた。頑固なおばあははじめ耳をかそうとしなかった。だけどいつしか、キムチはそのとき食べるぶんをあらかじめ小皿に取って食卓に並べるようになった。真っ赤な小山ができていて、まだまだ多すぎるようにも思うけど、パックから直接取っていたときよりは格段に量が減った。

おばあが好きな鍋も、もちろんキムチ鍋。鍋といえば一時期、おばあはキムチ鍋ばかりつくっていた。だけど、キムチを小皿に取るようになったのと同じころから頻度が減った。おばあは口に出さないけど、減塩を意識しているのは明らかだ。

祖母(おばあ)がつくったキムチ鍋

実は僕も、減塩を心がけている。おばあの遺伝子を受け継いでいる僕は、塩分を取りすぎるとすぐに高血圧になってしまう気がする。おばあみたいに何錠もの薬を、毎食飲み続けなければいけない体になるのは勘弁してほしい。

だからおばあには、僕はかなりのうす味が好みだということにしている。おばあは頑固だから、僕がお願いした通りの味のものはつくらないけど、何もいわなかったときより多少は味がうすくなっている。

うす味が定着したのはいいけど、僕は最近、ちょっと物足りなく感じている。たまにキムチ鍋をしたときくらい、濃いめの味付けを楽しみたい。おばあもたまには好きなだけキムチを食べたらいいと思う。

僕は湯気を立てる土鍋に箸を伸ばす。赤く色づいた豚肉、シメジ、えのき、もやし、そしてこれもおばあの好物、緑色が鮮やかな春菊。底のほうに箸を突っ込む。底から混ぜ返してみると、すでに小皿にとったものと同じ具材があらわれる……あれ、おかしいぞ。キムチはどこに入っているんだろう?

祖母(おばあ)が晩ごはんにつくったキムチ鍋、サラダ、ごはん

メニュー
・キムチ鍋
豚肉、春菊、もやし、えのき、シメジ、エバラ「キムチ鍋の素」
・サラダ
生:トマト、キャベツ 茹で:ブロッコリー、アスパラガス、ほうれん草
・ごはん

「キムチは鍋のどのへんに入れたんや?」
テーブルの向こうのおばあに聞くと
「そんなん入れたら、えらい辛うなってまうやろ。エバラの素だけでじゅうぶんや!」
と怒鳴られた。

味の濃さのことで、僕が怒られてしまった。たしかに減塩を徹底してくれるのはうれしい。だけど今日くらい思う存分、おばあと一緒に味の濃いものを食べようと思っていたのに。気勢がそがれて何だかやりきれない。かといって、せっかくおばあの減塩への意識が高くなったのに、今さら味の濃いものをつくれという気にもなれない。

祖母(おばあ)がつくったサラダ

しかも肉や野菜が入ったキムチ鍋さえあれば、ほかのおかずはいらないのに、唯一サラダが並んでいる。野菜は血圧を下げる働きがあるので、たくさん食べるのはいいことだ。だけど、おばあがこんなに健康志向になってしまうとは。今までの肉も魚も関係なく、メイン級の重たい料理が重なるメニューを食べていた身としては寂しい気もする。

こうなったら、今日は土鍋の底が見えるくらい食べまくってやる。いつものように腹八分目じゃなくて、もう遠慮せず満腹になるまで腹に詰め込んでやろう。そうでもしないと、僕の心は満たされそうにない。

小皿を手に取り、具材を口いっぱいにほおばった。しっかりとキムチの味がついている。辛さとうま味で、豚肉の甘みが引き立てられている。春菊の香りが鼻に抜けた。気がつくと僕は、夢中でかき込んでいた。2杯目を取ろうと鍋に目を向けると、おばあと目が合った。おばあは僕より先に、2杯目の小皿を山盛りにしているところだった。

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