食べ方も、おばあが全部お見通し! 大根おろしと味の素冷凍ギョーザ

スポンサーリンク

メニュー
・味の素冷凍ギョーザ
・大根おろし
大根、じゃこの佃煮
・煮もの(2日め)
骨付き鶏肉、こんにゃく、たけのこ、大根
・なます
大根、にんじん、さば
・みそ汁(2日め)
豆腐、わかめ
・野菜
生:ミニトマト、キャベツ 茹で:ブロッコリー、アスパラガス、ほうれん草
・ごはん

夕飯の席につくと、目の前が料理で埋め尽くされていた。今日は7品もある。そのうち煮ものやみそ汁は2日めで、 なますはつくり置き、野菜とごはんは毎晩欠かさず並んでいる。それだけでも十分なのに、おばあは冷凍の餃子と大根おろしをわざわざ追加している。

新しくおかずを加えるなら、フライパンで焼くだけで簡単につくれる冷凍餃子だけでもよかったはずだ。大根をすりおろすのは力と根気がいる。僕でも面倒だし、80代のおばあならもっと負担に感じるだろう。それでもおばあは力を込めて大根をすりおろした。そして餃子と一緒に今日のメニューに加えたのだ。これには何か理由があるのに違いない。

おばあに聞いたところで、「料理のことに男が口出しするな!」といつものように怒られて嫌な思いをするだけだ。とにかく、僕はお腹が減っている。まずは夕飯を食べようと思って箸に手を伸ばすと、その手前にスプーンが置かれていた。

今日のメニューでスプーンを使うものといえば……大根おろしだ! ほかの料理はスプーンだと食べにくいけど、水気があってきめの細かい大根おろしならすくうのにちょうどいい。だけどなぜだ。これまでに大根おろしが出たときは一度もスプーンなんて並んでいなかった。

カレーや茶わん蒸しでさえ、箸でかき込むおばあは、プリンを食べるときくらいしかスプーンを使わない。僕にもスプーンを出してくれることは滅多にない。

大根おろしをスプーンですくってそのまま食べる、ということをおばあはすすめているわけではなさそうだ。だとすれば……餃子だ! 餃子に大根おろしをのせるのにスプーンがぴったりじゃないか。

僕は冷蔵庫に急ぎ、旭ポン酢を手に取ると、じゃこの佃煮入りの大根おろしにさっとかけた。そしてスプーンですくった大根おろしを餃子の上にたっぷりとのせた。

ひとつつまんで口に入れる。餃子の油っこさを、さっぱりとした大根おろしが打ち消している。大根の甘味と辛味、旭ポン酢のさわやかな酸味とじゃこの佃煮の塩気が、ジューシーな餃子に合っている。これならいくらでも食べられそうだ。

なぜおばあはこんな食べ方を思いついたのだろうか。テーブルを挟んで正面のおばあに顔を向けると目が合った。

「大根おろし出したら、そうやって食うと思ったわ。カレーのときもおんなじようにしてたからな」
そういっておばあはにやりと笑った。

以前、僕がカレーに大根おろしをのせていたを見て、おばあは今日の餃子の食べ方を思いついたのか。それに大根おろしと餃子を出せば黙っていても一緒にして食べるとわかっていたらしい。おばあの手のひらの上で転がされているようで何だか釈然としない。

ただ、この大根おろし・オン・餃子はうまい。もうひとつ食べようと思ったけど、すでに皿は空になっていた。