新たな味を追求するおばあ、これでいいのか!?大根おろしカレー


新たな味を追求するおばあ、これでいいのか!?大根おろしカレー

メニュー
・カレー
牛すじ、玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、
・大根おろし(トッピング)
大根、じゃこの佃煮
・野菜
生:ミニトマト、キャベツ 茹で:ブロッコリー、アスパラガス、ほうれん草 ハム

おばあのカレーは毎回ちがう。具材に牛すじと定番の3種の野菜を使い、2つのルウをブレンドするのは変わらない。だけど具材の大きさや玉ねぎの炒め加減、市販のルウの種類などが微妙にちがっているのだ。

おばあはつくったカレーを食べてみて、自分の好みに合うように、少しずつ改良を加えている。この前まではそう思っていたけど、どうやら僕の感想を次につくるカレーに反映させているらしい。

思い返せば、きっかけは10年以上前。テレビ番組で牛すじを赤ワインで煮込んでいるのを見た僕が、カレーにも入れて欲しいと頼んだことだ。牛すじは固くなりにくいしダシが出るので煮込み料理に最適だという。ただし何度もお湯で煮て、余分な脂を取りのぞく必要がある。この下処理が面倒そうだったから、どうせやらないだろうと思っていた。それをおばあは何食わぬ顔でやってのけた。

おばあがはじめてつくった牛すじカレーはうまかった。おばあにとっても想像以上の味だったらしく、近所にも配って好評を博した。だからだろう、カレーに関しては僕の感想を参考にしているらしいのだ。

あれから牛すじ以上のイノベーションは起こっていない。それでもおばあは僕の何気ない意見を取り入れ、カレーのアップデートを繰り返している。

前回カレーを食べたとき、僕はどんな感想をいっただろうか。カレーをひとくち食べてみる。ほどよい甘みがある。玉ねぎがほとんど溶けてしまっているのは、じっくりと炒めたからだ。やわらかな甘味は炒めた玉ねぎから出ているようだ。そうか、僕は玉ねぎをもっと炒めるといいといったのだ。

おばあはいい大人の僕を、いつまでも子ども扱いして、まともに話を聞こうとしない。だけどやはり、カレーについては別らしい。

隣の皿には大根おろしがたっぷり入っている。昨日は僕の念願、豆乳鍋だった。僕は土鍋にひしめく3分の2くらいの具材を平らげた。明らかに食べすぎていたのを、おばあも当然知っている。それで消化に効く大根おろしを、メニューに加えてくれたのかもしれない。

だけど、僕の胃腸を心配してくれているなら、メインの料理はうどんとか雑炊とかもっと消化にいいものでもよかったはず。それが脂分の多い牛すじ入りの、こってりとしたカレーというのはなぜだろう。そもそもカレーと大根おろしという組み合わせが新しい。カレーと野菜はわかるけど、大根おろしをどうしろというのだ。これだけ単品で食べるのか。

もしかしてこの大根おろしは、カレーのトッピングじゃないのか。牛すじを入れるというアイデアが、おばあのカレーに革命をもたらした。しかしそれ以降、10年以上にわたり大きな変化は起こっていない。あれはたまたま僕がテレビを見ていて思いついただけだ。もう、僕の意見だけではカレーの味は大きく向上しない。そのことに思い至ったおばあが自ら、改革に乗り出した結果が、大根おろしカレーなのだろう。

僕はじゃこの佃煮入りの大根おろしを、カレーの上にこんもりと積み上げた。カレーとごはんと大根おろしを1:1:1の割合でスプーンに乗せて食べてみる。これは……なかなかいける! 上にのせたものは、生たまごやチーズ、納豆でさえ取り込み、新たなおいしさに変えてしまうカレーの包容力、恐るべし。

大根おろしを加えるとカレーがさっぱりとして、サラサラと胃のなかに入っていく。しょっぱくて固いじゃこの佃煮もアクセントになっている。大根おろしを節約してカレーを食べ、さいしょと同じ量をおかわりした。また今日も、食べすぎてしまった。

「さっきから見とったけど、なにをやってるんや!」
突然、おばあが、たまりかねたようにいった。大根おろしをトッピングしたことなのか、昨日と同じように食べすぎたことをいっているのか、それとも両方についてなのか、満腹の僕は考えるのもわずらわしかった。

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