おばあに作ったこの日の“まごめし”は、久々の鍋。味付けは、おばあと僕が大好きな鍋の素、まつや『とり野菜みそ』のピリ辛味!
この『とり野菜みそ』の鍋、北陸の家庭で鍋といえば真っ先に名前があがる、地元で愛されるソウルフードだ。石川県在住の知り合いから数年前に送ってもらって以来、おばあと僕もすっかり“とりこ”に。
そんな『とり野菜みそ』ファンを“とりっこ”と呼ぶ。というのは、製造会社まつやの公式ツイッターで知った。
さらに、このアカウントでつぶやいている“製造部のYさん”が、なんと最近、書籍『おばあめし』を購入したというツイートを!
これはもう、『とり野菜みそ』の鍋を作って(勝手に!?)コラボしてお祝いするしかない! というわけでママチャリを飛ばして近所のスーパーに向かった。
本場の北陸では、味のバリエーションが何種類もあって、量が調節しやすいキャップ付きや金沢工業大学と開発したレトルトカレーまで売っているらしい。
大阪の近所のスーパーでは、使い切りのノーマルタイプが置いてあるだけで、別の味は石川県の知り合いに送ってもらっていた。“ふつう”の味でも充分おいしいから、まあいいか、と思っていたら、見慣れたパッケージの横に、ひときわ赤いピリ辛味を発見!
このタイミングで、おばあ好みのピリ辛味を扱うようになるなんて! 鍋の神様が微笑んでいる、と思った瞬間……鍋から立ち上る湯気の向こうで金髪、というより黄色い髪の公式キャラ『まつやとり』さんが微笑んでいる姿が、目の前にぼんやりと浮かんだ。
選んだ具材は
●白菜
●水菜
●ニンジン
●刻み昆布
●豚肉のこま切れ(冷凍庫にあった)
そして普段はなかなか手が出せない京野菜、
●聖護院大根!
これもタイミングよく安くなっていたので、最後の一つを迷わずカゴに。
作り方は『とり野菜みそ』と水を鍋に入れ、あとは具材を煮ながら、鍋の神様に祈るだけ!?
ただ注意すべきは、聖護院大根。おばあは“大根の炊いたん”が好物で、調理するのもお手の物だった。さらに料理ができなくなっても、味の評価には容赦がない。それだけに、聖護院大根がおいしく煮えないと、せっかくの鍋に無慈悲な点数がつけられてしまう。
先日、NHKの『サラメシ』に出たときも、「大根が固い」と僕の手料理にダメ出しする様子が、全国に放送されてしまった。
今回は確実に、大根をやわらかくしなければ! そしておばあに「おいしい!」と言わせてみせる!
そこで、煮込む前に電子レンジで熱を加えておいた。ついでにニンジンや白菜も! これで野菜は確実に柔らかくなり、味も芯まで染みこむはず!
さらに台所のコンロで煮て、いや、煮すぎてしまって、一度盛大に吹きこぼれたけど、
大根もニンジンも、見るからに柔らかく煮えた!
テーブルに持っていくと、おばあが身を乗り出して待ち構えている。『とり野菜みそ』の香りに食欲を刺激されたらしい。
さらにおばあは手を伸ばし、
「熱いで!」
という僕の注意も聞かず――
アツアツの土鍋のフタを素手で掴んで、
すんなりと開けてしまった。長年、炊き立てのごはんでおにぎりを握っていただけあって、今でもおばあの手は熱さに強いのだ。
よく煮えた具材が土鍋にひしめく光景と、立ちのぼるピリ辛みその香りに、僕も我慢できなくなってきた。
まずはおばあの皿に具材を取り分けると、両手のスプーンを使い、
すごい勢いで食べ始めた。そして念願の、
「おいしいわあ」
の一言! 心底そう思っているようで、いつもより語尾が伸びている。
気になる大根も
「やわらかい」
と高評価!
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満面の笑顔も飛び出すし、これは点数も満点!? と思ったら
「90点」
って、なんでやねん!
理由をよく聞いてみると、素直に満点を出すとそれ以上進歩しないから、ということらしい。でもそれって……本当は100点ってことやんか、おばあ!
そう言いたかったけど、ぐずぐずしているうちに
「早よ、お前も食べや」
と言われてしまった。
僕も空腹が我慢の限界に近づいていたので、まずは大根から食べはじめる。『とり野菜みそ』が芯まで染みてやわらかく、ピリ辛の刺激が食欲を刺激してたまらない。これはやっぱり100……いや、想像以上の120点やで!
次こそは、おばあにそう言わせるよう、さらに進化した『とり野菜みそ』鍋、作ってみせるで、おばあ!