孫が切って祖母が作る、カボチャの煮物…じゃなくて、これぞ南瓜の炊いたん!

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おばあが鍋のフタを開けると……そこには、久しぶりの――

 
 
 
 
 
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『南瓜の炊いたん』!

黄色い身は柔らかく絶妙な甘みがあって……そのままでもいけるし、デザート感覚で最後に味わってもいい! それに醤油とダシで味付けしてあるので、甘い食材なのになんと、ごはんにも合う! 数ある『炊いたん』の中でも万能すぎる僕の大好物だ!

甘党のおばあも好きなおかずなのに、近ごろなかなか作ってくれなかったのは、
「南瓜が固すぎて切られへん」
からだそう。おいしいものを食べることが何より好きなおばあが、作るのをあきらめるほどの固さとは……。

でも僕なら、絶対切ってやる! 料理は得意じゃないけど、そういう力仕事は任せてや、おばあ!

というわけで数日前に僕が買い物に行き、旬のカボチャを買ってきた。しかも1玉100円という、ハロウィンのジャック・オー・ランタンも驚きの激安価格! 以前からその品揃えと価格はただならぬものを感じていたけど、あらためて地元密着型スーパーの野菜コーナーの底力を見せつけられた!

そして昨晩、ひと玉のカボチャを菜切り包丁でザクザクと……というわけには、とてもいかなかった。おばあより力がある僕なら簡単に一刀両断できると思っていたけど、考えが甘すぎた。

これ、ほんとうに野菜!? と思うほど、固さが尋常じゃなくて石のようだし、ぱっと見はゴツゴツしているのに表面はツルツルで意外と美肌なので、包丁がすべって文字通り歯が立たない。

力を込めようにも、一歩間違うと自分の指を切り落としてしまいそうでゾッとする。包丁の角度やカボチャの向きを変えながら格闘していると、ようやく……見つけた! 刃の根元をカボチャの中心のへこんだあたりに押し当てるとグッとめり込むので、そのままゆっくり体重をかけるとメリメリと裂けるように切れていく。
包丁で切り分けた固いカボチャ
これはたしかに、おばあが長年の調理技術を駆使しても、力がないと切ることは難しい。

そしてその夜、僕が切り分けたカボチャをおばあが炊いてくれた。しかも鍋の中には――
カボチャとニンジンを一緒に煮た『南瓜の炊いたん』
ニンジンも一緒だ!

早速皿に取って食べてみると――
小皿に取り分けた南瓜とニンジンの煮物
どちらもしっかり煮えていて、カボチャはねっとりと柔らかく、ニンジンも簡単に噛み切れる。そしていつもの和風の味付けが食材の甘みを引き立てて、この組み合わせ、はじめてだけど相性ぴったりだ!

さらにもうひと皿、気になるおかずが! 
皿に盛った太刀魚の塩焼きと焼きナス
細長く銀色に輝く、白身の焼き魚は……太刀魚! そして後ろに控えるのは、これまた旬の焼きナス!

この太刀魚、切れ味鋭い太刀というより『鬼滅の刃』の伊之助の刀みたいになっているけど……焼きナスとの取り合わせ、センスの塊やで、おばあ!

ポン酢がきれているので、黒酢をかけてみると……もう、たまらない。

あっさりとした太刀魚とナス、そしてこってりと甘いカボチャとニンジン、この2種のおかずを交互に食べると、箸が止まらなくなる。いくらでも食べてしまう無限○○というメニューを聞いたことがあるけど、これぞまさにあっさりとこってりの無限ループ! そこにごはんが加わると、食欲はさらに加速する!

そんなとき一息つくのに最適なのが――
生ワカメが乗ったキャベツのサラダ
いつものサラダ! 今日は生ワカメが乗っていて、心地いい歯ごたえが暴走する食欲を落ち着かせてくれる。

メニュー
・南瓜とニンジンの炊いたん
・太刀魚とナスの焼いたん
・キャベツとワカメのサラダ
・ごはん

それにしても……おばあはいつも動画を撮ると笑顔を見せてくれるけど、今日は目も向けてもくれない。

おばあがいつも以上に腕によりをかけたメニューを僕が褒めたから、恥ずかしがっているのに違いない。それでも視線を向けるように伝えると――
食卓に着いて笑顔の祖母・おばあ
ようやく笑顔を見せてくれた。

機嫌のいいおばあを前にして、おいしい料理で満腹になって、これで満足できなければ何で満足できるというんだ! というくらい心もお腹も満たされた。

僕が食べ終えると、
「ごはんはしばらく、これ(南瓜の炊いたん)ばっかりやで」
とおばあがぼそりと言った。そんなのむしろ大歓迎だ! と僕は思ったけど、何だか恥ずかしくて言葉にはしなかった。