念願の書籍『おばあめし』(清流出版)の刊行記念イベント【おばあめしの生みの親は、芥川賞作家】を、10月21日に開催しました。
会場は僕もよく利用する、国内最大級の大型書店【MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店】! 建物はあの安藤忠雄氏が設計した幾何学的な意匠の複合ビルです。地下1階から7階まで、どこを向いても書棚の壁が立ち並び、まるで迷宮……というより、本好きの天国です! パライソや……ここがパライソやで、おばあ!
調べてみたら、書棚が5000台、蔵書が200万冊って、壮大すぎて逆にイメージができなくなりました。ここで人生初の書籍の刊行記念イベントが開催できて、天にも昇る気持ち……であると同時に、開催日時が近づくにつれ、黒雲のような不安が大きくふくらんでいきました。
大学生の前で話すことはありますが、大学外の、それも梅田の超大型書店にて開催する、初の著書の刊行記念イベントで観客を前にして話すなんて、想像しただけで頭の中が真っ白に……。
さらにゲストには、芥川賞作家の津村記久子さんをお招きしています。僕は津村さんの小説の大ファンで、デビュー作は何度も読み返しています。だから僕のイベントに登壇してくださるのは、おそれ多いくらい光栄なことです。でも、だからこそ、緊張しないわけがありません。
開始時間の2時間前には会場に到着し、水ばかり飲んで何度もトイレに行っては、絵本コーナーの書棚の間をうろうろしていました。
19時に始まったイベントには、年齢も性別もさまざまな多くの方にご来場いただきました。イベントを取り仕切るMARUZEN&ジュンク堂書店「顧問」の福嶋聡さんが直々に、よどみなく流れるように事前の説明をしてくださり、スムーズにトークショーにうつりました。
観客のみなさんの反応は温かく、開始早々、何度も笑い声があがり、僕の緊張はすっかり消え去って……というより、意識する暇がないほど、次から次に話したいことがあふれ出してきました。さらにどんどん話が弾み、津村さんとのトークは絶え間ない掛け合いのようなテンポになりました。
おばあの作った料理の見た目、エピソード、そして電力会社を辞めて物書きになった僕の経歴や執筆した記事のことなどを、津村さんが鋭くてユーモアのある視点で掘り下げて、ちょっと「普通じゃない」ところを面白がってくださいました。
たしかにあらためて言われてみると、僕のこれまでの歩みや書いてきたものは、振れ幅が大きくツッコみどころ満載です。アラフォーの僕の人生をかけたボケに、津村さんがツッコむ。書籍でも繰り広げた僕とおばあのやりとりのように、大阪らしい笑いが生まれていました。そのやりとりに観客のみなさんも笑顔になってくださいましたし、僕にとっても贅沢で濃密な時間になりました。
書籍の中身を見せながら、
特に印象に残っている料理や、書籍に書いてないエピソードも話しました。
それに忘れてはいけないのは、今回のイベントのタイトル【「おばあめし」の生みの親は、芥川賞作家】。これは書籍の章題にもなっている重要なことで、芥川賞作家とは、言うまでもなく津村さんのことです。
もちろん僕が10年以上、食べてきた料理の数々は、おばあが生み出したものです。でもそれを「おばあめし」と名付け、ブログで発信しようと決心したのは、書籍にも書いたように津村さんの助言があったからでした。
僕の将来を決定づけたと言ってもいい、そのときのお話もできて、会場はアットホームな雰囲気で明るく盛り上がっていました。でも実はこみあげてくるものがありました。
11年以上前に会社を辞めたとき、物書きになるならいつかは書籍を執筆したいと思っていました。でもまさかその目標を達成した書籍のテーマが、お金と時間を浮かすために作ってもらっていたおばあの手料理「おばあめし」だったとは、本当に何が起こるかわかりません。
現在放送中のNHKの夜ドラ『つまらない住宅地のすべての家』は、津村さんの小説が原作です。このタイミングでイベントが開催できたのも飛び上がりたいほどうれしくて、不思議な巡りあわせを感じます。この小説の単行本に、僕もサインをもらいました!
『つまらない住宅地のすべての家』は、僕も大好きな作品で、設定の裏話までお聞きできたのはファン冥利に尽きます。イベントでは、具体的に語りませんでしたが、小説の舞台になった場所が僕も知っているところだったのは驚きでした。その場所とは……言いたくてたまらないけど、僕だけの秘密にしておきます!
津村さんの最新刊『苦手から始める作文教室 ――文章が書けたらいいことはある?』についても語りました。ここに記してある作文をうまく書く方法は、僕も実践しているものがいくつもありました。効果は折り紙付きです。
トーク終了後は、
観客席から手が挙がり、質問タイムになりました。
おばあめしのことや僕の経歴のこと、そして僕がかつて反捕鯨団体に取材したことがなぜか盛り上がり、熱心に聞いて笑ってくださいました。
それが終わると、なんと僕にサプライズで!?
書籍のイラストを描いてくれた「とみこはん」さんから、手製の消しゴムはんこを押して作った素晴らしい作品が! 部屋に飾って宝物にしています!
はんこの現物もいただいたので、トークショー後のサイン会では、
サインに加えて消しゴムはんこも押して、このよろこびをおすそ分け!
ご来場いただいた方はもちろん、「おばあめし」を応援してくださっているみなさま、MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店の方々、津村さん、「とみこはん」さん、清流出版のみなさん、ディレクションの橋本さん、表紙やこのイベントの撮影をしてくださったフォトグラファー大森さん、それにあなたがいたから書籍ができて、イベントが開催できたんやで、おばあ!
ここで、あらためてお礼を申し上げます。ありがとうございます!
ちなみに、このとき着ていたおばあめしTシャツは、数日前に思いついて自分で注文しました。これが着られる機会(イベント)を、またつくろうと思っています! そのときはぜひ、チェックしてもらえたらうれしいです。