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祝「おばあめし」書籍化!そのとき、おばあは……!?

これは「おばあめし」はじまって以来の重大事……いや、僕がこれまで経験した中でも一、二を争う、うれしいできごとだ!

おばあに伝えたら、どんな反応をするだろう。ちょっと頑固でぶっきらぼうなおばあだけど、きっととびきりの笑顔を見せてくれるのに違いない。

そのようすを記録しておかないのはもったいないし、これまで「おばあめし」を応援してくれた人たちと分かち合いたい。そもそも多くの人が見てくれたからこそ、この”うれしいできごと”につながった。

そこで、インスタグラムのライブ配信で発表することに決め
「翌日の19時から、おばあへのサプライズと重大発表をします!」
と予告を公開した。

そして翌日の夕方、意気揚々とおばあの家に向かった。おばあの驚く顔を想像すると、足取りは加速して、ほんの数分のあいだに汗が吹き出していた。

そのまま玄関を駆け上がり、勢いよく居間の戸を開けると、おばあはイスに座ったまま居眠りしていた。

僕に気づいたおばあは顔を上げ
「今日は……なんや、もう眠たいわ」
と半開きの目をこすりながら言った。

これはまずい! 
「おばあ、もうちょっとだけ、7時過ぎまで起きてられへんか?」
慌てて言うと、
「もう、寝るわ!」
そう宣言しておばあは立ち上がった。

こうなるともう止められない。おばあはトイレに行き、洗面所で入れ歯を外すとまっすぐ寝室に向かって行った。そしてベッドに横になると、すぐに寝息を立てはじめた。

『サプライズ』とか『重大発表』なんて、大それた予告を公開したぶん、期待した人をがっかりさせてしまう。すぐに『発表』は翌日に延期させてほしいと投稿をすると、「楽しみが一日のびました」とか「おばあしっかり休んで」なんて気遣ってくれるコメントが届き、心底救われた。

次の日はおばあがデイサービスに行く。そこで気の合う人たちとレクリエーションを楽しんだり、手足がよく動くようにリハビリをしたりする。そして何より、おばあが大好きな大浴場での入浴タイムが待っている。

デイサービスでは、心身ともに刺激を受けてぼんやりしている暇はないらしく、いつも『テンションアゲアゲ』で帰ってくる。だから『発表』前に早めに寝てしまうこともないはず……だけどこれまでおばあの予想もつかない行動で、僕はさんざん翻弄されてきたから、ちょっと心配……。

ということでダメ押しにロールケーキを買っておいた。大の甘党のおばあが、好物を目の前にして「もう、寝るわ!」なんて言うわけがない。

準備万端で迎えた当日の19時前、この日おばあの目は……ばっちり冴えていた! 珍しく僕の思ったとおりになったし、これならサプライズもうまくいきそうだ! 

ロールケーキは、米粉を使ってあんこや黒豆までトッピングしてあるスペシャル版にした。おばあの好きな和と洋の甘味が一度に味わえるから、よろこびも倍増するはず。

僕は切り分けたロールケーキをテーブルの端に置き、スマホを三脚にセットしてライブ配信の準備をはじめた。ところが……すぐに終わるからと、好物を前にしておばあを待たせてしまったのが悪かった。

「なにやってんねん。早よ、しいや!」
と怒りを買ってしまった。

これはまずい! 主役のおばあがへそを曲げると、サプライズどころではなくなってしまう。しかも『テンションアゲアゲ』状態なので、怒り方にも一段と勢いがある。

さすがにもう『発表』を延期するわけにはいかない。すぐにロールケーキを渡し、それをおばあが頬張りはじめたところでライブ配信を開始した。

だからこのとき、ロールケーキの写真なんて撮っている暇はなく、皿に乗せた米粉の和風ロールケーキ
翌日に撮影した。

それにおばあの機嫌がいつ急変するかわからず、気が気じゃなかった。とはいえそんな心配をよそに、サプライズの発表は……大成功だった

その内容というのは、なんと――

(※上の表紙の画像をクリックすると、アマゾンのページに行けます。詳しくは、ぜひリンク先で!)

このブログ「おばあめし」の書籍化だ!

2016年に「おばあめし」を開始したとき……いや、僕が物書きになろうと決めたときから、かれこれ十二年以上、書籍を出すことを夢見てきた。僕が今、38歳だから、人生の三分の一を費やしてきたことになる。

思い返せばその『夢』のため、僕は会社を辞め文芸分野の学科がある大学に入り直した。

そのときから生活費を浮かすため、おばあが作ってくれるようになった「おばあめし」が、まさか書籍になるなんて当時は思ってもみなかった。

うれしいことに、おばあも同じように思ってくれたようで、書籍化の話を伝え、表紙の画像をみせたところ、
「へぇ……ええやん」とか「100点や!」
と感心したように笑顔で言ってくれた。

 
 
 
 
 
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配信はいつもおばあが「もうええわ」と数分で切り上げたがるけど、このときばかりは30分近く機嫌よく僕の話を聞き、届いたコメントにこころよく返事もしてくれた。

書籍の表紙を見て、
「うまいこと撮れてるやん」
とおばあが言ったのは、表紙に写っている『顔おにぎり』のこと。

この『顔おにぎり』は数週間前、
おにぎりを握る祖母と見守る孫
こうしておばあが握ってくれた。

二月にコロナにかかってから、台所に立つことが難しくなったので、具材は過去の『顔おにぎり』を参考にして僕が切って用意して、おばあの指示通りにごはんにふりかけを混ぜておいた。

その具材をおばあが選んで、丸く握ったごはんに配置して握ってくれたのだ。

祖母の握ったおにぎりを持つ祖母と孫

そして完成した顔おにぎりは、

祖母の作った顔のついたおにぎり

合計4つ。これを携え、僕はおばあの故郷、愛媛の山奥の『ぽつんと一軒家』に、プロのカメラマンと一緒に持って行き撮影してきた。

故郷で撮影することは伝えていたけど、

書籍「おばあめし」の表紙を印刷したもの

こうして書籍の表紙になるとは、肝の座ったおばあもさすがに驚いたらしい。

表紙の推薦文は、なんと! 芥川賞作家の津村記久子さんが執筆してくださった。
【「おばあめし」の生みの親】の理由は、書籍を読んでのお楽しみ!

祖母の故郷の愛媛の山奥で、山をバックに撮ったおにぎり
↑は表紙とは別バーションの写真です。

おばあの故郷では、おばあの弟夫婦が僕らをもてなしくてくれた。その様子は、また後日……。

書籍の発売日は9月の中旬。僕が長年、思い描いた夢が今、形になろうとしている。現在、製作の最後の追い込み中で慌ただしいけど、それすらも心地よく感じる。

それにしても配信で、
「ばあちゃんも行きたかったなあ」
とおばあがしみじみ言った里帰りは、実現させたい。長時間車に乗って険しい山道を行くから、もう少し体力をつけてもらわなければ。

そのためにデイサービスでしっかりリハビリして、栄養のあるもの僕が作るからしっかり食べてや、おばあ!

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