おばあ、今日のごはん、わざと焦がしたんやろ!? お焦げごはんと大根おろし


おばあ、今日のごはん、わざと焦がしたんやろ!? お焦げごはんと大根おろし

祖母(おばあ)が作ったお焦げご飯

ごはんにうっすらと黒っぽい色がついている。顔を近づけてみると、香ばしいかおりがする。もしかして、焦げているのか。焦げがあるごはんなんて、子どものころに行ったキャンプで、飯盒を使って炊いたとき以来かもしれない。あのときは底の方が真っ黒に焦げてしまって、カレーがやたらと苦かった。

おばあはごはんをガスの炊飯器で炊く。通常の電気炊飯器より火力が強く、一粒一粒の米が芯まで一定の固さでふっくらと、つやつやに炊きあがる。今晩もたしかに白いところには艶があるけど、茶色の焦げが目立つのは、おばあが火力の設定でも間違えたからだろうか。

いや、僕が知る限り、おばあはこれまでにごはんを焦がしたことはおろか、水加減すら失敗したことはない。かつては薪、今ではガスを使うようになったという変化はあるけど、おばあにとって米を炊く行為は、何十年と続けてきた日々のルーティンだ。今日に限って失敗するということがあるだろうか。おばあの手違いでないとすれば、ガス炊飯器に問題があるということもあり得る。今、台所にあるものは、10年くらいは使っているし、そろそろガタがきてもおかしくない。

「炊飯器の調子、悪いんか?」
テーブルの向かい側のおばあに聞くと
「調子はええよ」
と真顔で答えた。

炊飯器にも問題がないとすると、おばあはもしかして、わざとごはんを焦がしたのか! よく考えてみれば、焦げは飯盒を焚火で炊いたときほどひどくなく、内釜に接していた米の表面がうすく色づいた程度。かおりは焦げ臭いどころか、食欲をそそる。

ひと口食べてみると、味も苦くなく、香ばしい風味が加わり、ごはんだけでも箸がすすむ。噛みごたえのある焦げの食感が混じっているのも悪くない。これ以上、焦げると苦くなっておいしさを損ねるだろう。おばあは火力を微妙に強くして、味わいが増す絶妙な具合に焦げをつけたのに違いない。

おかずも品数が多くて、どれも手間暇がかかっているのが一目見てわかる。やっぱりごはんだけ炊くのを失敗したとは思えない。

赤魚の塩焼きやおこげご飯など、祖母(おばあ)が作った晩ごはんのメニュー

メニュー
・赤魚の焼いたん
・煮物
厚揚げ、手綱こんにゃく、ちくわ、たけのこ
・えんどう豆のたまごとじ
・大根おろし
大根、じゃこ
・みそ汁
豆腐、白菜、たまご
・サラダ
生:トマト、春キャベツ 茹で:ブロッコリー、アスパラガス、ほうれん草
・ごはん

赤魚の塩焼き

メインは先日も食べたばかりの赤魚の塩焼きだ。うすい皮は真鯛よりも赤く、引き締まった身は白い。頻繁に食卓に並ぶということは、真っ白な身のクセがない、ほんとりと甘みがある味わいを、おばあも気に入ったらしい。

タケノコと手綱こんにゃくと、ちくわの煮物

こちらも最近よく食卓に並ぶ、旬のたけのこの煮物。厚揚げと手綱こんにゃく、ちくわも加わっている。

祖母(おばあ)が作った味噌汁

みそ汁は豆腐と白菜、そしてたまごが入った、かきたまみそ汁だ。高齢者はたまごや肉、魚などのタンパク質をたっぷりとると、健康で長生きできるという、テレビの健康情報番組を見て以来、おばあはよくみそ汁にたまごを入れるようになった。「もういつ死んでもええんや」と口癖のようにいうけど、内心では健康で長生きしたいらしい。

祖母(おばあ)が作ったエンドウ豆のたまごとじ

こちらも旬のえんどう豆。さらにたまごでとじてある。豆もタンパク質が豊富だし、たまごも入っているし、おばあにはこれを山盛り食べてもらいたい。

祖母(おばあ)が作った大根おろし

すりおろすのに力がいる大根おろしまである。今晩のメニューに大根おろしとくれば、

赤魚の塩焼き、大根おろし乗せ

赤魚の塩焼きと一緒に食べないわけにはいかない。早速口に入れると、大根おろしのさわやかな辛味が、赤魚の甘みを引き立てていて、ごはん茶碗に手を伸ばさずにはいられない。そしてかき込んだお焦げごはんがまた、たまらない。口の中のすべての食材たちが、おいしさを高め合っている。

お焦げご飯、大根おろし乗せ

つづいて大根おろしを、お焦げごはんに乗せる。魚が一緒なのもいいけど、これだけでもおいしいのはもう、想像しただけでわかる。

「おばあ、よくこんな焦げ具合でごはん炊けたな」
と僕はいった。褒めたつもりだったけど、
「炊くの失敗したんや! 黙って食えや!」
おばあは何を勘違いしたのか、僕を怒鳴った。

怒られたことはいい。それよりも、失敗しただって! この絶妙な加減のお焦げごはんは、狙って炊いたのではなく、失敗の産物だというのか。火加減か炊く時間を間違ったのだろうか。これまで失敗せずに炊いてきたのに、今になってなぜおばあは意図せず焦がしてしまったのか。わからない。わからないけど、黙って食わないと、今度はもっとひどく怒鳴りつけられる。

どうせ答えてくれないなら、無益ないい争いをするより、目の前にあるおいしいものを味わったほうがいいに決まっている。僕はうつむき、ごはん茶碗に手を伸ばした。

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