クリームシチューに入れたい“好きなもん”
おばあが作ったシチューが食べたい! だけど長年、料理を作ってくれた僕の祖母、おばあはパーキンソン病が進行して台所に立てなくなり、ついに介護施設に移ってしまった。
それなら自分で作るしかない! と初めて自炊したシチューは、おばあのアドバイス「好きなもん入れたらええ」を実践して――
僕の“好きな”ハンバーグを入れた、ビーフシチューならぬハンバーグシチューに! 使ったシチューの素は『栗原はるみのビーフシチュー』。
僕でも知っている有名料理家の名前がついているだけあって、ビーフシチューは絶品。ハンバーグを入れたのも、新たな定番にしてもいいくらい相性ぴったりで、自分で作ったとは思えないくらい大成功だった。
だけど心残りなのは、おばあがよく作ってくれたのはビーフシチューではなくクリームシチューだったこと。
ダイエーのクーポンにつられて『栗原はるみのビーフシチュー』を買ったけど、やっぱりクリームシチューが食べたい!
しかも今、クリームシチューに入れたい“好きなもん”が、冷凍庫にある。
つい先日――
⇧の料理に使って、食べきれなかった僕の好物、牡蠣。
これをクリームシチュー入れたら、この前のハンバーグシチュー……いや、それ以上にピッタリ合う! おばあから受け継いた“食の直感”が、そう告げている。
今度こそ作る、クリームシチュー
というわけで買ってきたルウはーー
『濃いシチュー 4種のチーズ』。おばあはいろんなルウを使っていたけど、いつもあの『天下一品』のこってりスープくらいどろどろで濃厚だったし、チーズも家では毎朝欠かず食べていた。
“濃い”味で“4種のチーズ”が入っているなら、きっとおばあがよろこぶ味だ。
実際に作ってそれを確かめたら、また僕の料理が食べられるようになったときに作ってあげたい。
そして今回のメインの具材、牡蠣は、おばあも大好物で――
冷凍したむき身が、まだたっぷり残っている。
他にも具材は、
シチューに合いそうなセロリやニンジンなどの野菜、それに冷蔵庫にあったピーマン、さらには大根も用意。
きのこはマッシュルームに、シイタケも。
まずは根菜類を――
適当な大きさに切って、
皿に盛り付け、電子レンジで柔らかくなるまでチン! それを、
土鍋に入れて火にかける。
キャベツとモヤシもチンして、
緑の野菜は切ってそのまま、
鍋に投入。
そしてきのこや他の具材と一緒に、今回のメイン、
牡蠣を鍋にイン!
張り切っていろんな具材を入れすぎて、何だかクリームシチューとはかけ離れてしまった気も……。でもここまで来たらもう引き返せない。
蓋をして見なかったことに……じゃなくて、吹きこぼれないように火加減を見ながらしばらく炊き、
シチューのルウを入れ、箱に書いてあった牛乳、ではなく、
脂質少なめでヘルシーな豆乳を注ぐ。そしてルウを溶かしながら、またしばらく炊き、皿に盛り付ければ、
牡蠣たっぷり濃厚チーズクリームシチューの完成!!
メニュー
・牡蠣たっぷり濃厚クリームシチュー
牡蠣、ニンジン、セロリ、玉ねぎ、ほうれん草、長ネギ、大根、キャベツ、モヤシ、じゃがいも、わかめ
・ごはん(3分づき米)
途中でどうなることかと思ったけど、ルウさえ入れれば、見た目と香りはちゃんとクリームシチューになっている。
まずは――
牡蠣からいただきます!
一度冷凍したけど、プルップルの食感は生を煮たときと変わらない。噛めば牡蠣の旨味が、濃厚なチーズ風味のシチューと合わさって、これがおいしくない……わけがない! おばあ! 戻ってきたら食べさしたるで! と叫びたくなるうまさ!
そしてこの味は、ハンバーグシチュー以上に――
ごはんに合う! 三分づきの玄米に近いごはんの香ばしさと、プチプチの食感がクリーミーなシチューと不思議とぴったりだ。
牡蠣とごはんを交互に食べすすめる。だけどもう、我慢できない!
茶碗が半分ほど空になったところで、ごはんをシチューにイン! さらにごはんを追加して、
シメはクリームシチューライスだ!
具材を入れすぎてシチューの汁気は少ない。だからあとからごはんを入れると、上の写真のようにシチューをほとんど吸ってしまった。
でも、このシチューを吸ったごはんをワシワシ食う感じがたまらない。意外と洋食好きで、ごはん大好きのおばあも気に入るに違いない!
これならいっそ、こっそりとおばあに……なんて、誤嚥性肺炎でも起こしたら命に関わるから絶対にだめだ。
この気持ちを抑えるには、料理の腕を鍛えてレパートリーを増やしながら、おばあがいつか僕の作ったものを食べられるようになるのを待つことだけ。だからもうちょっと調子良くなってや、おばあ!