おばあが暮らす介護施設で、またコロナの感染者が出てしまった。毎日のように会いに行っていたのに、しばらく面会謝絶で顔を見ることもできない。
親しくなった職員さんたちは、電話をすればおばあの様子を教えてくれると言うけど、忙しい仕事の邪魔になるので電話なんて滅多にできない。
おばあのことは心配だし、僕自身も寒い日が続いて風邪気味だし、身も心もエネルギー残量は半分以下……。
そんなとき、おばあなら……温かくておいしいものを作ってくれた！
そうだ！ だったら自分で作ればいい。
というわけで、気持ちをふるい立たせ、自転車を立ちこぎして買ってきたのが――
こんな食材。
温かくておいしいものといえば……実は前々から、やってみたいことがあった。
それは――
粉末スープを、贅沢に何袋も使って、量も具材もたっぷりのスープを作ること！
おばあも寒い時期には――
粉末のスープをよく出してくれた。
とはいえ、料理のアレンジが得意だったおばあでも、粉末スープといえばお湯を注ぐだけだった。
それでもたしかに、じゅうぶんおいしい……だけど、だからこそ、すぐになくなるから、もっと食べ応えがほしかった。
だから今回は、ひと箱に入っている３袋全部使って――
具材を“これでもか”というくらい入れてやる！
メインは鶏肉だけど、風邪に負けないように、野菜たっぷりで栄養満点にするつもり。
野菜といえば、おばあが好きで、よく鍋に入れていた――
きくな（春菊）も買ってきた。ちょっとクセがあるきくなは、生成AI（Gemini）によれば、栄養豊富で免疫力アップにも効果的らしい。
それでは、僕が作ってみたかった、ある意味“夢のメニュー”、さあ、調理開始だ！
粉末ポタージュスープで、夢のメニュー
調理はまず――
ニンジンや玉ねぎ、サツマイモ、カボチャといった、火が通るのに時間がかかる食材を鍋で煮る。
そこに冷凍していた――
鶏もも肉を、かたまりのままドボンと投入。
フタをしてしばらく煮て、冷凍の鶏もも肉が柔らかくなったら――
キッチンばさみで、大ぶりにカット！
その上から――
水菜に長ネギ、マイタケ、沖縄もずくを加え――
きくなや小松菜を追加し、またフタをしてしばらく煮る。
葉物野菜がしんなりしたら――
牛乳を200mlほど、
ドバっと入れる。
ちなみに前回は――
牛乳がなくてヨーグルトを入れたけど、今回はしっかり牛乳を用意。
その牛乳入りの汁がグツグツ沸騰したところで――
ここで登場、粉末スープ。
ちなみに今回選んだのは、ポッカサッポロの『じっくりコトコト濃厚コーンポタージュ』。
この箱に入っている、
3袋の中身を全部入れ……ようとしたけど、具材が多すぎて汁がほとんど見えず、粉がとけなさそう。
そこでいったん――
具材は取り出しておく（3食分はあるので、皿に別々に取り出した）。
そして残った汁に――
粉末スープを溶かして、具材の上にかける。
それから仕上げに、オリーブオイルをたらしたら――
完成だ！
メニュー
・具だくさん粉末コーンポタージュ
ポッカサッポロ『じっくりコトコト濃厚コーンポタージュ』
具：大根、小松菜、水菜、生もずく、玉ねぎ、長ネギ、鶏もも肉、きくな、まいたけ、サツマイモ、カボチャ
・もち麦入りごはん
まずはスプーンを手に取り――
スープをいただく。
いろいろ具材を入れたけど、味はさすがの粉末スープ！ 馴染みのある味で、なんだかほっとする。
とはいえ、加えた牛乳や野菜の甘味、鶏肉のうまみが溶け込んで……もっとおいしくなってるで、おばあ！ そう叫びたくなるおいしさ！
きっとおばあも好きなはず！ これもいつか食べられるようになったら、味わってもらおう。
それにしても、前々から思っていたけど、粉末スープって、味噌汁に負けないくらい――
ごはんが無性に欲しくなる。
それにパワーアップしたこの味、ごはんとの相性もさらに上がっている。
これはもう――
こうして、かけてやる！
もう行儀が悪いとか言っていられない！ と勢いよくかき込む。そうだ！ 僕はこれがやりたかったんだ！ これ、ほんとうにうますぎるー！
僕が最近、作っている料理は食材を“炊いて”味付けを変えるだけで、調理手順はほとんど一緒だ。それでもぜんぜんちがう味になるのだから、やっぱり、おばあが得意としていた“炊いたん”のポテンシャルは計り知れない。
次もおいしくて、ぜんぜんちがう、そして健康にもいい“炊いたん”を作ろう！ もちろん、いつかおばあが食べて、合格！ と言ってくれる味にするから、また僕が作ったもの食べられるようになってや、おばあ！
