じゃがバターならぬ“かぼちゃバター”が絶品!放置してたらハロウィン色になった小菊かぼちゃで作る

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小ぶりでかわいらしいかぼちゃが、商店街の八百屋の店先に並んでいた。名前を見たら、これまたかわいい“小菊かぼちゃ”。

たしかに真上から見ると菊の花みたいだ。こんなきれいな見た目のかぼちゃ、味もきっとおいしいはず。

おばあがよく作ってくれた“なんきんの炊いたん”が大好物の僕としては、小菊かぼちゃ、ぜひとも味わってみたい!

だけどこういう珍しい野菜って……どうせお高いんでしょ? と値札を見ると、なんとひとつ280円というお買い得価格。ふつうのかぼちゃ4分の1サイズより安い。

というわけで買ってきたものの、僕が作る“なんきんの炊いたん”の味は、まだまだおばあには遠く及ばない。

だったらこの際、“炊いたん”以外のかぼちゃ料理を作ってみよう。レパートリーも増えるし、いいことづくめだ。

それにかぼちゃは保存がきくので、あせって作る必要なんてない。食べてみたいのはやまやまだけど、とびきりおいしくなる調理法をじっくり調べてからでも遅くない。

ところが、そうこうしているうちに時が経ち――夏の木の葉のように、深い緑色だったかぼちゃは、

小菊かぼちゃ

すっかり熟して、ハロウィンのかぼちゃみたいになってしまったやんか、おばあ! と思わず叫びたくなる秋らしい枯れ葉色に。

ハロウィンのかぼちゃがオレンジ色なのは、よく見かける緑色のやつとは種類が違うと思っていたけど、同じものだったのか。

そして僕の体調にも変化が。季節の変わり目に夏蒲団のまま寝ていたら寝冷えしたらしい。なんだか風邪気味で、軽い頭痛と腹痛が同時に襲ってきて食欲もあまりない。

そうだ! こんなときこそ、栄養豊富なかぼちゃがある! 調理したら柔らかくなって甘みも出るし、食欲がなくても食べやすい。

というわけで、小菊かぼちゃと冷蔵庫にあるもので――

小菊かぼちゃやにんじん、バター、うどんなど、台所にある晩ごはんの食材

料理することに決めた。

だけどメニューは、複雑なものを作る気になれないし、ネットでレシピを調べる気力もわいてこない。

だったらもう、おばあみたいに直感で作ってしまえばいい……そうだ! かぼちゃといえば、加熱すればじゃがいもみたいにホクホクになるから――

雪印北海道バターや玉子、かぼちゃなど、晩ごはんの食材。

バターを使って、“じゃがバター”ならぬ“かぼちゃバター”にしてみよう。

作り方はじゃがバターと同じく、

まな板の上に置いた小菊かぼちゃ。

かぼちゃを洗ってから、茹でるのも蒸すのもいいけど、もっと手軽に――

調理中で作動している電子レンジ

電子レンジでチンするだけ。加熱時間は、700Wで5分くらいに設定。

小ぶりとはいえかぼちゃ丸ごとひとつ、レンチンなんてしたことないので、時間は完全に勘だけど――

電子レンジで加熱したかぼちゃ

5分で、なんかいい感じになってる!

電子レンジで調理したカボチャを指で触っている。

指で押したらぐにゃっとへこんで柔らかいし、ちょうど食べごろだ。

これが経験のなせるわざなのか!? 料理するのに毎日のように電子レンジを使っていたら、なんとなくの勘で、はじめての食材でも加熱時間がわかるようになってきたみたい。

おばあはこの調理の“経験”を半世紀以上にわたって積み重ねていた。だからこそ、どんな食材でも僕のむちゃぶりでも、はじめて挑戦したメニューなのにどれも絶品だった。

その境地にわずかでも近づけたような気がして、気分良く熱々のかぼちゃを――

電子レンジで加熱した小菊かぼちゃを裏返したところ

まな板に置いて、包丁を刺すと、ほとんど力を入れずにすんなり切れる。

包丁で切り分けた小菊かぼちゃ

これを4つに切り分けたら、ほぼ完成。

あとは種とヘタを取って、バターをのっけるだけ。

消化にいいうどんを作る

うどんはまず、

国産小麦100%の讃岐うどんや玉子、雪印北海道バターなどの食材

この讃岐うどん、ひと玉は食欲不振の今の僕には、ちょっと多いので――

ステンレスの鍋で茹ではじめたうどん

3分の2玉ほどを茹でる。

茹で時間は2分ほどとパッケージに書いてあるけど、消化を良くするためにもっとしっかり煮込む。

そのあいだに別の鍋には――

香り白だしのボトル

白だしと、

ホーローの鍋で作っている塩麴スープ

塩麹をお湯に溶かして、キノコや鶏肉を入れる。

ちなみに白だしと塩麴の分量も直感だ。

さらに、

ホーロー鍋にニンジンや小松菜、玉ねぎなどを入れて塩麴スープを作っている

ほかの具材も投入して煮込む。

玉ねぎやニンジンは火が通るのに時間がかかるので、電子レンジであらかじめ加熱してある。

今日のメニューは体調不良を回復させるのが目的だから、全部の食材を柔らかくしたい。

そして麺はというと――

ステンレスの鍋で茹でているうどん

さすが讃岐うどん。10分茹でてもまだコシが残っている。

そういえばおばあは、麺といえば箸でつまめばボロボロと切れるほどの“バリやわ”が好みだった。一緒に食卓を囲んでいたころは、なんでそんな離乳食みたいな麺が好きなのか全然理解できなかった。

でも、今ならわかる。今の僕の体も、消化にいいものを欲しているのだ。

というわけでさらに10分ほど茹でたところで器に移す。

そこに汁と具材を加えれば完成だ!

晩ごはんの食卓に並べたバターを添えた小菊かぼちゃや野菜入りうどん

メニュー
・かぼちゃバター
・具だくさん“バリやわ”?うどん

まずは、味が気になる――

料理した小菊かぼちゃ。スプーンにバターを乗せている。

かぼちゃからいただきます。

スプーンに乗せていたバターを、

電子レンジで加熱したカボチャ

かぼちゃに移すと、熱ですぐに溶けていく。

そのかぼちゃを手でつかんで、ガブっとかじると、やっぱりシンプルな組み合わせだから、思ったとおりの味……じゃない!?

いつものかぼちゃより小ぶりだから、食感も味もぎゅっと詰まった濃厚な感じだと思っていたのに、逆だった。

この小菊かぼちゃ、さっぱりしていて甘さひかえめの上品な味だ。でも、これ悪くない。というより、かなりおいしい!

想像とちがっていたから、はじめは面食らったけど、上品な味のかぼちゃにこってりしたバターが相性抜群。

それにこの組み合わせ、甘すぎないのでバターを使っているのにくどくなく、風邪気味で食欲がないときにもちょうどいい。

そして続いて――

ニンジンやワカメや野菜、玉子を入れて家で作ったうどん。

うどんを箸で持ち上げると、20分も茹でたのに、持っただけではブツブツ切れずおばあ好みの“バリやわ”には一歩足りない。

ただ、歯ごたえはあまりなく、いつもよりはじゅうぶんやわらかい。

これなら消化は悪くない。ニンジンや玉ねぎも電子レンジでチンしたので、ほとんど噛まずに食べられる。

そうして食べ進んでいると、具材たっぷりのうどんも、2切れにしておこうと思っていたかぼちゃも、全部平らげてしまった。

食べているうちに食欲が戻ってきた。

このメニューなら、そのまま出してもおばあに喜んでもらえるのに違いない。消化にもいいから、僕が作ったものをまた食べられるようになったら、これを最初に食べてほしい。

明日はまた、おばあがいる介護施設に行って、今日の料理のことと僕に料理の勘が少し身についてきたことを報告しよう。