おばあの意外な絶品サンマの選び方 孫が実践して作る【サンマの塩焼きと塩麹スープ』

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夏の猛暑がやっと落ち着いて、僕の好物の“あの秋の味覚”が出回りはじめた。

ここ数年は不漁で価格が高騰し、やせ細ったものばかりで残念だったけど……今年は見るからに脂が乗ってて大ぶりで、価格も手ごろやんか、おばあ!

なんて、あやうく商店街で叫びそうになるくらい上質なものがずらっと並んでいた。

そして買ってきたのが――

鶏肉やカボチャ、キャベツなど、台所に置いた晩ごはんの食材

こんな食材。

メインはもちろん、ひときわ目を引く――

トレーに乗った切った鶏もも肉

鶏もも肉……ではもちろんなくて、

キッチンペーパーとビニール袋に包んだ下処理済みのサンマ

こっちのキッチンペーパーとビニール袋に包んである、

まな板に置いたサンマ

サンマだ! それも“特大”と書いてある中から、特に新鮮で脂の乗りがよさそうなものを、おばあの教えにしたがって選んできた。

その教えとは、ちまたでよく見聞きする、目が澄んでいるとか、口の先が黄色っぽいとか、背中が盛り上がっているとか、そんな具体的なことじゃない。

おばあが教えてくれたのは、“パッと見て、おいしそうやと思うやつ”、ただこれだけ。

つまり直感。

自らの感覚を研ぎ澄ませて、感じたままに選んで作る。それがおばあの料理だった。

分量もすべて直感でおいしくしてしまう。そんな境地を目指す僕も、おばあに言われたとおり直感で“おいしそうやと思う”一匹を、パッと見の第一印象で選んできた。

そのサンマを洗って塩を振り、キッチンペーパーとビニール袋に包んで数時間、冷蔵庫に寝かしておいた。これで余分な臭みをとり、塩味をつけるのだ。

さらに塩を軽く振り、フライパンに乗せる。ところが特大サイズなので、端からはみ出てしまう。

そこで、

半分に切ったサンマ

こうして半分に切って、

アルミホイルを敷いたフライパンで焼いているサンマ

焦げ付かないフライパン用のアルミシートに乗せて、

アルミホイルに包んだサンマをフライパンで焼いているところ

包んで蒸し焼き状態に。ただ水分はほどよく飛ばして、皮目はカリッとさせたいので、両端は水蒸気が抜けるように開けておく。

焼き加減は、料理をはじめたころ生焼けになることが多かった。でも最近は、魚は片面だいたい7・8分くらいがいいことがわかってきた。

それにしても、香ばしい香りが台所に立ちこめて、呼吸するたびにどんどんお腹がすいてくる~。

片面を焼いたら、

フライパンとアルミホイルで焼いたサンマの塩焼き

ひっくり返す。表面がカリカリで、いい具合に焼けている。

そして反対側を焼くあいだにつくるのは、

マルコメのプラス糀 生塩糀と割烹白だし

塩麹と白だしの“塩麹スープ”

まずは、

水を入れた鍋に大さじで塩麹を入れているところ

水に塩麹と白だしを、だいたい大さじ2くらいずつ入れる。

調味料もおばあのように勘で直接入れたいところだけど、それでおいしく作る達人の域には、まだまだ僕には経験が足りない。

鶏肉を入れた塩麹スープを鍋で作っているところ

そして沸騰してきたところに鶏もも肉を入れて、

鍋で調理中の鶏肉やニンジンなどを入れた塩麴スープ

ニンジンやキノコを入れ、

鍋に小松菜や鶏肉、にんじんなどを入れた塩麴スープを作っているところ

小松菜やキャベツ、それから玉子や冷凍わかめも追加して煮込む。そのあいだに、

深皿に入れて電子レンジで加熱するカボチャと玉ねぎ

カボチャと玉ねぎは電子レンジで5分くらい加熱して鍋に追加。

そしてしばらく煮込んだら、具材を取り分け、

味噌をすくったお玉を塩麴スープに入れて、味噌汁を作っているところ

スープに味噌を少々溶かす。

塩麴と白だしだけで味付けはじゅうぶんだと思うけど、いつも僕は失敗を恐れるあまりちょっとうす味になってしまう。だから今日はさらに味噌を加えて、塩気とうま味をプラスしてみた。

両面焼けたサンマの塩焼きとごはんも用意したら、

サンマの塩焼きとごはんと塩麴スープという晩ごはんの献立

今晩の献立の完成だ!

メニュー
・サンマの塩焼き
・具材入れすぎ塩麹スープ
・ごはん(もち麦入り)

まずは久々の秋の味覚、

アルミホイルに包んで焼いたサンマの塩焼き

サンマからいただきます!

サンマの塩焼きを箸でほぐしているところ

箸でつつくと、表面はカリッ、身はふっくら。ひと口食べると、じゅわっと染み出すうま味が、もう、たまらない。

とはいえ、おばあが焼いたサンマの焼き加減には、まだ及ばない。おばあの焼いたサンマに比べて、ちょっと焼きすぎて固くなっている。

でも素材がいいから、気になるほどじゃない。

それに塩気を強めに効かせているので、醤油なんかなくても、これだけで――

漆の器に入れたごはん

ごはんをかき込まずにはいられない。

それにしても、サンマをちまちま箸でつついているのももどかしい。

だったらもう……そのまま端からガブっとかじりついて、骨も内臓も丸ごと味わってやる! “さかなクン”もEテレの『ギョギョッとサカナ★スター』でこんな食べ方して、共演者の“シャーク香音”さんにドン引きされていたけど、今の僕にはそのさかなクンのサンマを頭まで食べつくす気持ち、めちゃくちゃわかるよ!

サンマを一口かじって、ごはんで追っかける。そして、

皿に盛りつけた野菜や玉子を入れた具だくさんの塩麴スープ

この塩麴スープをすすると、これまたごはんに合う~! 

具だくさんがいいとはいえ、さすがにこれは入れすぎてしまった……と思ったけど、鶏肉の脂や野菜の甘味が、ただでさえ濃厚な塩麴のうま味と合わさって、おいしさが倍増している。

少しやりすぎたと思うくらいでも案外なんとかなる、というより、かえっておいしくなる。というのは、おばあのやり方を見ていて学んだこと。

でも以前の僕なら、失敗を恐れて味付けは控えめにして、ちょっと物足りなくなることが多かった。それが今日は仕上げに加えた味噌が、ちょうどいい塩梅になっている。

サンマの塩味もしっかりついているし、これならおばあに「味がまだ甘い(うすい)わ」と低評価をくらうこともなさそう。

このしっかりめの味付けのサンマの塩焼き定食、おばあに食べてもらって感想を聞きたい。

というわけで、おばあにまた食べてもらえるときが来るのを願って、明日また、おばあがいる介護施設に会いにいこう。