夜中に『孤独のグルメseason10』第5話を見ていると、千葉県の“いづみ亭”で出てきたのは、あまりにおいしそうな鶏皮餃子! ぷっくりとしたかわいいサイズで、皮はこんがりとして艶やかで、五郎さんがかじるとパリッ……パリパリと、心地いいリズムに……もう我慢できない!
先日のNHKの夜ドラのときと同じく、寝る前なので水をがぶ飲みするしかなく、早朝に川でおぼれる夢を見てあやうく布団を濡らすところだった。
目が覚めると食欲は消え去り、あのパリパリ食感の餃子を、自分で食べるよりもおばあに食べさせたいと思った。
ただ、ふつうの餃子も作ったことないのに鶏皮で包むなんて、料理修行中の僕にはハードルが高すぎる。レシピサイトを見たとしても、黒焦げか生焼けになるのに決まっている。
というわけで用意したのは、間違いなくおいしくできる……味の素の『冷凍ギョーザ』!
これだって出すのはかなり久しぶりだし、油も水もいらずに皮はパリっと仕上がって、おまけに“ハネ”までできる。
実際に焼いてみると、思った通り……いや、それ以上のパリパリ感! 並べた餃子は見るからに香ばしい“ハネ”に囲まれてひとつにつながっている。それなのに裏返しても焦げてはいない、今まで作った中でも最上級の焼き上がりだ!
おばあに出す翌日の昼はあまり時間がないので、僕は上機嫌で他のおかずと一緒にラップをして冷蔵庫に入れておいた。
それが悪かった……。
冷蔵庫から取り出すと、せっかくのパリパリが、湿気を吸ってフニャフニャに。ハネなんてどこにあるのかわからない。
新しく作り直そうにも、餃子も時間もない。少しでも罪滅ぼしになればとーー
さっと作れる丸いおにぎりを2個用意した。
ひとつはブラックペッパーとたまごの『ぺパたま』ふりかけをまぶし、もうひとつは富山県でよく食べられているという“とろろ昆布巻き”にした。どちらもおばあの好きなやつだ。
おばあはまずは餃子から、
介護スプーンの二刀流で、
吸い込むように豪快に頬張る。
味にうるさいおばあは、ただでさえ僕の作った料理になかなか満点をくれない。今回の餃子はフニャフニャだから、かなり厳しい評価を下されそう……。
心配しながら見守っていると、おばあは続いてーー
おにぎりをパクパクとかじる。
小さめのおにぎりは食べやすそうだけど、餃子のせいで点数はきっと史上最低……。
そう思いながら今日の料理の点数を聞いてみると、
「100点!」
って、なんで満点やねん、おばあ!
僕が自信を持って出した料理でも70点くらいなのに……この高得点は一体……そうか!
麺類だって、僕はコシのある固めが好きだけど、おばあは歯ごたえのない箸でつかめないほど柔らかいものが好みだ。
餃子も、僕はパリっと香ばしいやつ好きだけど、おばあはパリパリ触感を求めていなかったんだ! むしろ麺のように、柔らかいほうが好きなのに違いない。
それを物語っているのがーー
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この笑顔!
料理をするなら、自分の好みを押し通すより、食べる側(おばあ)の好みが重要だってことを忘れていた。
おばあも料理を作っていたとき、自分の好き嫌いよりも僕の好みや食べる量に合わせてくれていた。「見るのもいやや」という納豆でも、僕のためにわざわざ小皿に移して卵黄をトッピングしてくれたこともあった。
僕も次に作るときは、もっと食べやすい柔らかさの、おいしいもんを出すからな、おばあ!
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