生麺と魚介ダシの醤油スープ!おばあがつくる謎の本格インスタントラーメン


生麺と魚介ダシの醤油スープ!おばあがつくる謎の本格インスタントラーメン

今晩もラーメンだ! いつもの時間に僕がやってくると、食卓ではおばあがまた丼ぶりを抱えて麺をすすっていた。そんなにラーメンが好きだったのか!? 少し前まで、醤油も味噌も豚骨も「どれも同じや!」とかいっていたのに、近ごろは味の違いを楽しむように、いろんな種類のインスタントラーメンが食卓に並ぶ。

今晩おばあが食べているのは、生麺ぽくて醤油スープのようだけど、この前のラ王とはまた違っている。麺はやや太めでスープの色は濃く、食べごたえがあっておいしそう。楽しみにしながら台所に向かおうとすると、おばあが丼ぶりを置いて立ち上がった。そして、
「今日はつくったる!」
と力強く言い放ち、僕を押しのけて台所に消えていった。食卓の丼ぶりの中には、黒っぽいスープしか残っていなかった。

なぜだおばあ、ラーメンのときは僕が自分でつくることになっていたのに……。おばあに続いて台所に行くと、火にかけた鍋の中でお湯が沸騰していた。僕が来る時間を見計らって沸かしてくれていたのだろう。

ラーメンの麺を鍋で茹でているところ

そこにおばあは、生めんの固まりを投入する。インスタントにしてはかなり本格的だ。おばあは麺といえば柔らかめが好きだから、いつも長時間煮込む。このままでは僕の好みとはかけ離れた離乳食みたいなラーメンができあがってしまう! だからいつも麺類は自分で茹でていたのに。
「自分でやるで!」
思わずいうと、
「ええから、黙っとれ!」
と制された。そして冷蔵庫のキッチンタイマーに手を伸ばし2分にセットした。ちゃんと僕の好みの固さに茹でてくれるらしい。今晩はやけにサービスがいいけど、一体どういうことなんだ!?

具材入りのラーメンスープを鍋で温めているところ

片手鍋の中ではスープと具材が温められていた。

インスタントラーメンを丼に盛り付けているところ
茹で上がった麺とスープ、具材を丼ぶりに盛り付けて完成だ。それにしても、上にたっぷり乗っかっている色の濃い緑の野菜は何だろう。じっと眺めていると、
「ほら、できたで! 持って行け」
と声が飛んできた。そこは僕の仕事なのか、と思いながらいわれた通りにする。

味付けたまごと春菊が具材のインスタント醤油ラーメン

メニュー
・ラーメン(醤油スープ)
味付けたまご、メンマ、???
・ローストビーフ
・キムチ
・サラダ
生:ミニトマト、キャベツ 茹で:ブロッコリー、アスパラガス、ほうれん草

固めに茹でた太麺はちょうどいい歯ごたえがあり、つるつるとしたのど越しもいい。黒っぽいスープは見た目ほど塩気は強くなく、魚介ダシのうま味が効いている。ただ、緑の野菜から染み出したらしい苦味と、独特の風味が気になる。これは何度も食べたことがあるぞ。長い葉っぱをひとつ口に入れると……やっぱり、春菊だ!

まずくはないけど、どうしてこれをラーメンの具材に……。味が強すぎて、醤油スープが春菊風味になってしまっている。向かいの席に目をやると、おばあが得意げに顎を上げ、僕を見下ろしていた。〝どうや、うまいやろ!”という声が聞こえてきそうだ。

そうだ、おばあは春菊が好物だった。おばあにとってはこれが最高の具材なのに違いない。今晩はとにかくおいしいラーメンをつくり、自分で味わい、僕にも食べさせることが目標だったのだろう。麺を僕の好みの固さに茹で、味付けたまごまで用意しているところにその意気込みが現れている。ラ王とかエースコックのワンタンメンとか、いくつもインスタントラーメンを食べているうちにハマったらしい。ラーメン好きの僕としてはありがたい。

皿に盛りつけてソースをかけたローストビーフ

それにこのローストビーフというのも、ただのおかずじゃないだろう。こんなのおばあがつくれるはずがないし、滅多に買ってくることもない。肉屋か総菜屋で見かけ、ラーメンに合うと直感して手に取ったのだ。

ローストビーフを具材にしたインスタントラーメン

乗せてみるとたしかに、肉の赤みが映えておいしそう。麺と一緒に口に入れると、染み出してきた肉汁がからんでかなりうまい。よくあるチャーシューの代わりどころか、それ以上に魚介ダシのスープに合っている。

春菊の風味も、食べているうちに気にならなくなってきた。今晩のラーメン、ほんとにいいぞ。おばあ、ありがとう! 夢中で食べ進めていると、疑問がひとつ頭に浮かんだ。このインスタントラーメン、なんていう名前なんだ? 生麺だから、よくある袋麺やカップ麺のコーナーには置いていないだろう。こんなにおいしいラーメンなら、自分でも昼間につくって食べたい。
「これ、うまいなあ。なんていうラーメンなんや?」
おばあに聞いてみると、
「知らん! うまそうやから買うてきたんや!」
と大声で返された。
「知らんて、名前が書いてある袋とかあるやろ?」
「袋は捨てたわ。そんなことより黙って食え!」
なぜだ、おばあ。ほんとはわかってるんだろ。教えてくれてもいいじゃないか。さらに食い下がろうか迷っていると、おばあは不敵に笑い、
「そんなにうまかったら、またつくったるわ!」
といった。このラーメンが食べたければここに来るしかない、というのか。だったらそれでいい。だから――
「また早いうちにつくってや!」
と僕は叫んで、麺をすすった。

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