進化する日清ラ王!おばあの定番は醤油スープに冷やし中華の具材!?

スポンサーリンク

居間の戸を開けると、ずずずずずっ! とおばあが大きな音を立て、黄色い中華麺をすすっていた。口の端に麺を一本垂らしたまま僕に振り向いて、
「今日はラーメンや! 自分でつくってこい!」
といった。

〝今日は”というより〝今日も”というべきじゃないか。近ごろインスタントラーメンがしょっちゅう食卓に並んでいる。とはいえ、種類はいろいろあるし、夜は寒くなってきたし、何よりラーメンは僕の好物なので毎日でも大歓迎だ。

今日のラーメンは何だろうか。おばあが食べていたインスタントとは思えないツヤがある麺には見覚えがある。期待しながら台所に行くと、

日清ラ王(醤油)のパッケージ、麺、用意した具材

流し台にあったのはやっぱり、日清ラ王! 以前おばあはラ王を食べて「麺が固すぎる」と文句をいっていた。このコシがある〝まるで生めん”の食感がいいんじゃないか、といったところで、84年かけて築いてきたおばあの好みが今さら変えられるわけがない。もうラ王は買ってこないものだとばかり思っていた。

ところが僕はおばあの〝おいしいものを食べたい”という情熱を甘く見ていたようだ。一度食べて「こうすればもっとおいしくなる」と思ったら、次回つくるときに必ず手を加えるのがおばあだ。だから定番のカレーや酢鶏もバージョンアップを続けている。固いと感じたラ王の麺は、かなり煮込みまくって柔らかくしたのに違いない。

具材もさらに豪華になっている。前回、ラ王をつくったときは、千切りハムと錦糸たまごという、中途半端な冷やし中華っぽい組み合わせだった。これにはおばあも、さすがに何かが間違っていると思ったのだろう。今回はそこに――

日清ラ王に乗せるキュウリとハムと玉子焼き。冷やし中華みたいなトッピング。

キュウリが加わって、完全に冷やし中華の組み合わせだ! ハムと錦糸たまごは醤油スープに合っていたけど、キュウリはどうなのか想像できない。さらにコンロのフライパンには――

日清ラ王にトッピングする鶏肉をフライパンで焼いているところ

焼いた鶏肉が乗っている。これも具材ということだろう。豚でも牛でもなく鶏……どうしてこうも冷やし中華っぽい具材にこだわるのかわからない。だけどこれはこれで合いそうだし、前回よりも進化している。おばあのセンスを信じてみよう。

日清ラ王の麺を鍋で茹でているところ

まずは麺を茹で、

日清ラ王のスープの素をどんぶりに入れたところ

袋入りのスープをラーメンどんぶりに入れて、

日清ラ王の茹で立ての麺を、スープと一緒にどんぶりに入れたところ

お湯を注いで麺を入れる。そこに具材を並べれば――

日清ラ王に鶏肉とキュウリとハムと玉子焼きをトッピングしたところ

冷やし中華感満載だけど、けっこうおいしそう。

日清ラ王やシシャモ、タケノコの煮物など、祖母(おばあ)が作った晩ごはんのメニュー

メニュー
・ラーメン(日清ラ王 醤油)
トッピング:鶏肉、キュウリ、ハム、錦糸たまご
・タケノコの煮物
・シシャモの焼いたん
・サラダ
生:玉ねぎの醤油漬け、トマト、キャベツ 茹で:ブロッコリー、アスパラガス、ほうれん草

さっそくラーメンに箸をつける。固めに茹でた麺のツルっとした口当たりと、コシのある歯ごたえがたまらない。たっぷりとスープを吸った錦糸たまごや、刻んだロースハムはもちろん、キュウリも醤油スープに合っている。シャキシャキした食感もいい。そして塩焼きにした鶏肉からは脂が染み出して、スープにうまみを加えている。

追加した具材の相性はぴったりだ。さすがおばあ、おいしいものを求めて料理に工夫を続けてきただけある。先に食べ終えていたおばあに、
「今日のラーメン、うまいよ」
僕が感想をいうと、
「そうやろ」
と当然のことのようにいったけど、口元はうれしそうに緩んでいた。そして満足そうに腹を叩いて立ち上がり、空になった食器を持って台所に向かっていった。

それにしても、ラ王以外のおかずがごはんの欲しくなるものばかりだ。

祖母(おばあ)が作ったタケノコの煮物

この味がよくしみ込んだタケノコの煮物や、

シシャモを焼いて皿に盛りつけたところ

塩気の多い焼いたシシャモなんて、これだけあればごはん2杯くらいはいけそう。そんなことを思っていると、

祖母(おばあ)が炊いて茶碗に盛りつけたごはん

「ごはん、忘れてるで」
台所から戻ってきたおばあが、僕の目の前に茶碗を差し出した。そして、
「おかずも一つ出し忘れてたわ」
とオクラのかつお節和えが乗った皿も追加した。

最近太り気味の僕の体型を気にして、おばあはごはんのお代わり禁止令を敷いているくらいなのに、ラーメンとごはんというもっと太りそうな組み合わせは構わないのか。だけどこの、ラーメンとごはんというコンビネーションには、何ともいえない魅力がある。

麺をすすって、スープもすすり、すかさずごはんをかき込む。たしかにこの炭水化物の重ね技は太るに決まってる。それでも体型を犠牲にしてもいいくらい、うまい。おばあはやっぱりおいしいものをわかってる!
「ラーメンにごはん、うまいわ!」
僕がまた感想をいうとおばあは
「そうやろ!」
と今度は満面の笑みで答えた。