おばあが語る! 実録、果物屋がカボチャを切った理由


おばあが語る! 実録、果物屋がカボチャを切った理由

謎の肉のカツ、南京とじゃがいもの煮ものなど、おばあが作った晩ごはんのメニュー

メニュー
・謎の肉のカツ(惣菜屋のもの)
・なんきんとじゃがいもの炊いたん
・高野豆腐(惣菜屋のもの)
・味噌汁
玉ねぎ、わかめ、しめじ
・サラダ
生:トマト、キャベツ 茹で:ブロッコリー、アスパラガス、ほうれん草
・ごはん

カツは商店街で買うてきたんや。何の肉かわからんて、食うたらわかるやろ。豚とちゃうか。ご……なんや、ごうせい? ごうせい肉ってなんや。豪勢やったらええやろ。ちゃうんか。合成肉? 切れ端の肉を薬で固めとるんか。で、その肉は何の肉や? え、豚? それやったら今いうた、豚肉で合っとるやんか! おばあが夕飯につくったじゃがいもとかぼちゃの煮もの

おばあは声を荒げたけど、怒っているわけじゃない。いつもよりじょう舌で、目元はゆるみ、何だか楽しそう。その理由はわかっている。僕がついさっき、おばあがつくった煮物を「おいしい!」といったからだ。

煮崩れしやすいかぼちゃとじゃがいもが、角もほどんど欠けることもなく、皿にのっている。じゃがいもに箸を入れると、ふわりと2つに割れ、芯まで味が染みている。味付けは、じゃがいものほくほくとした食感と甘みが引き立つ、薄口しょうゆベースのやや薄め。溶け出したかぼちゃ色が移った、淡い黄色も食欲をそそる。

かぼちゃはじゃがいもよりも柔らかく、甘みが強い。これだけ食べても上品なデザートのようだし、醤油の微妙なしょっぱさがあって、ごはんにも合う。単品ではお菓子のようで、ごはんと食べるとおかずにもなる、絶妙な加減を突いている。簡単にペースト状になって口じゅうに広がるほど柔らかいのに、皿にのっているかぼちゃは角が立っている。

じゃがいもとかぼちゃを一口ずつ食べた僕は、「おいしい!」と思わず声に出したのだった。

おばあが晩ごはんに作った、なんきんとじゃがいもの煮もの

そのなんきんはな、果物屋に切ってもろたんや。なんきんは固あて、自分では包丁がよう入らへん。え? なんで果物屋で切ってもろたかて? そら、八百屋の向かいにあるからや!

八百屋でな、半分にしてあるなんきんを買うて、袋に入れて下げたんや。同じとこにイモも入れたから、えらい重いかったわ。そんで次にどこ行こうか思て、歩き出したら「総菜や!」総菜屋でなんか買うたろと思たんや。

そんでも、総菜屋は通りの奥の方で遠いし、なんきんとイモの袋は重いしで、もう帰ったろと。八百屋をちょっと通り過ぎて、また引き返したら、八百屋のおっさんが、「もう買いもんは終わりか」やて。通りの奥に行きかけて、戻ってきたから変に見えたんかもしらん。そんとき、「そうや、重たい袋を八百屋のおっさんとこに置いとってもらお」と気がついたんや。

おっさんにいうたら「ええよ」て、袋、置いとってくれた。そんで総菜屋行って、カツやら高野豆腐、買えたんや。

おばあが総菜屋で買ってきたこうや豆腐

高野豆腐見とったら、柔らかいやろ? そんで何でか、なんきんが固いの思い出してん。半分のなんきん切るんは、なんぎするんや! どうしたもんやと考え考え、八百屋に戻るときに、「そうや、切ってもろたらええ!」て、わかったんや。なんきんを半分にできるんやから、もっと小そうにできるやろ。

ほんで八百屋に行ってみたら、おっさんおらんねん。店あけたまま、どっか行ってもうてる。店に入って声出して呼んでも、誰も出てけえへん。しゃあないから、預けとった袋だけ取って、出ていこうとしたら、「どないしたんか?」て誰かがいうてきた。店の奥から品物とった泥棒に見えたんかもしらん。それが、向かいの果物屋の奥さんやったんや。

八百屋のおっさんがおらんのと、なんきんが固いいう話したら、果物屋の奥さんが切ってくれるいうて。そんで、なんきん、小そうにしてくれた。果物屋の家は、おじいが建てたんや。そんでよう知っとるから良くしてくれるんやな。

おばあが商店街の果物屋で買ってきたみかん

今日の煮物は、義理と人情でつながった、おばあと八百屋と果物屋の連係プレーがなければできなかったのだ。それに自分の要求を誰にでも堂々と伝える、おばあの厚かましさが役に立った。

おばあは食事を終えると、台所から大きなみかんを持ってきた。

おばあが買ってきたみかんの皮をむいたところ

皮と身にすき間があってむきやすい。ひと房口にいれる。薄皮には適度な張りがあり、酸味はほとんどなく、甘みが強い。これは、安売りの袋に入ったやつじゃない! 段ボールに一つずつ陳列された、ちょっといいみかんだ。

みかんは今日、果物屋で買ってきたのかとおばあに聞くと、
「そうや!」
と力強く答えた。かぼちゃを切ってくれたお礼の意味も込めて買ってきたのだ。さっき、おばあのことを「厚かましい」なんて思ったけど、ちゃんと義理は通していた。

僕はみかんを半分残し、テーブルの向かい側でテレビを見ているおばあに黙って差し出した。

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