おばあには塩の「辛さ」も唐辛子の「辛さ」も同じもの?いんげん豆のピリ辛おひたし


おばあには塩の「辛さ」も唐辛子の「辛さ」も同じもの?いんげん豆のピリ辛おひたし

メニュー
・すき焼き(2日め)
牛肉、豆腐、長ねぎ、糸こんにゃく、にんじん、えのき
・いんげん豆のピリ辛おひたし
いんげん豆、七味
・みそ汁
たまご、豆腐、玉ねぎ、油あげ、青ねぎ
・サラダ

生:トマト、キャベツ 茹で:ブロッコリー、アスパラガス、ほうれん草
・ごはん

皿に盛られたいんげん豆のおひたしの上に、辛そうな赤い粉がかかっている。よく見ると黒ごまや、何だかわからない小さな粒が何種類も混じっている。この粉は、七味唐辛子だ。おばあがつくる料理で七味唐辛子が使われているのは、年末に食べた年越しそばくらいしか思いつかない。それも僕とおばあが各自で、そばの上からちょっとふりかけただけだ。

なぜおばあは、あらかじめ七味唐辛子をふりかけた料理を出したのだろうか。そしてその料理がなぜ、いんげん豆のおひたしなのだろうか。今までは七味唐辛子がかかっていたことも、各自でかけるようにいわれたこともない。

赤い粉がたっぷりのったいんげん豆を一本、箸でつまんでじっと見ていると
「その七味はな、正月に清荒神で買うたんや!」
テーブルはさんで向かいの席からおばあがいった。

おばあが今年、初詣に行った清荒神の参道にはたしか、薬味を売っている古い店がいくつもあったはず。そこで七味唐辛子を買ったもののほとんど使っていなかったので、相性が良さそうないんげん豆のおひたしにかけてみた。たぶん、そういいたいのだろう。おばあの話はいつも言葉足らずだけど、何年も近くで暮らしていると何がいいたいのかなんとなく推測できるようになる。

箸で持っていたいんげん豆を口に入れる。きゅっと音がなるようないんげん豆と、七味唐辛子に入っているつぶつぶが潰れる食感が心地いい。いんげん豆の中から染み出してきた醤油と、さわやかな山椒の香りが合わさり、ごはんが欲しくなる和の風味となって鼻から抜ける。さっき噛み潰したつぶのひとつは山椒だ。舌がしびれるのと同時に、唐辛子の辛さがやってきた。思ったよりもけっこう辛い。赤い粉を少し落としてから口に入れればよかった。

おばあが急須を持ち、僕の湯呑みにお茶を注いでくれた。僕は急いで飲もうとして、熱くてたまらず咳き込んだ。おばあは弁解するようにいう。
「すき焼きがな、水を入れて味がうすくなってしもうたんや」
また言葉足らずの説明だ。おばあがいいたいのは、すき焼きの味がうすくなったかわりに、いんげん豆のおひたしに辛さを加えたということらしい。。

昨日つくった2日めのすき焼きには具材が足されているけど、味が煮詰まりすぎないように水を入れたらしい。肉をひと切れ食べてみると、たしかにうす味だ。だけどうす過ぎるということはなく、ごはんに合う甘辛さは感じられ、これはこれで悪くない。

そもそも味付けが足りないと思うなら、なぜすき焼きに醤油や砂糖をプラスしないのだろうか。それに、すき焼きの味の「辛さ」というのは醤油の塩辛さであって、七味唐辛子の「辛さ」とは別ものだ。

おばあのしゃべり方はぶっきらぼうで、語彙が少なく説明が足りない。ところがおばあは、言葉を重要視していないようなのに「辛い」という言葉に引きずられて、塩味の辛さも唐辛子の辛さも同じものだと思っているらしい。

食事を終えると、おばあは台所に行き、小皿に何かをのせて持ってきた。
「これは甘いで。辛いもんの後には、甘いもん食べたらええで」
そういいながらテーブルに置いた小皿には、表面に糖分の結晶がびっしりついた見るからに甘そうな干し柿がのっていた。おばあはどうやら、辛さは甘さで中和できるとも思っている。

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