煮込んでいるからうまくなる?2日目のカレー

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・カレー(2日目)
玉ねぎ、じゃがいも、にんじん、牛すじ、ルウ(バーモントカレー、印度カレー)
・なます
大根、にんじん、サバ
・野菜
トマト、ブロッコリー、キャベツ、ほうれん草、アスパラガス

「カレーをつくったら、次の日もカレーやで!」と、おばあは毎回、2日目のカレーを出すときに言う。昨日と同じものを出されたからって文句を言うなや!と、釘を刺すような険のある口調だ。僕は「カレーだったら連続で一週間、いや一ヶ月でも食える!」というようなことを答える。本当は一週間以上も続くのは勘弁してほしいけど、2日くらいで文句は言わない。むしろ2日煮込んだカレーは、さらに濃厚になって一日目とはちがった味を楽しめるから大歓迎だ。

それなのにおばあは毎回毎回、昨日と同じものを出されたからって文句を言うなや!とキレてくる。だから僕も腹が立ち、「カレーだったら連続で一週間、いや一ヶ月でも食える!」という言い方に力が入ってけんか腰になる。するとおばあは、口では一ヶ月も連続でカレーが食えるとか言うてるが、それはいつもの強がりで、同じもんを出されて腹を立てとるんやろ! お前の考えとることくらいお見通しや! という思いを強くする。そしてまた2日目のカレーを出すときにおばあは強い口調になり、僕がそれに応じ・・・・・・という無限のスパイラルに陥っている。

いいかげん、ムダに怒りをぶつけ合うこのやりとりを終わらせたい。でも、どうせ今回もおばあは怒りながら2日目のカレーを出してくる。そうだとわかっていても僕は、余計な一言をこらえる自信がない。どうしたものか。

僕はおばあにつられて声を荒げてしまわないよう、できるだけ明るい表情を意識して席についた。すると早速、おばあは台所からカレーをよそった皿を持ってきた。さあ、おばあが癇癪をおこすぞ。僕は身構えた。

ところがおばあの表情はやわらかく、得意げに胸を張っている。何を言われるのかと思ったら、「じゃがいもと玉ねぎを追加で入れたんや。昨日のカレーとはちゃうで」。

たしかに昨日のカレーより、見るからに具材が多い。じゃがいもと玉ねぎは細かく刻んで炒めてあり、カレーにとろみが加わっている。味もいつもより濃厚で、2日目のカレーの良さがさらに増している。

カレーはうまいし、おばあの機嫌もいい。でも、待てよ。カレーに具材を加えて味を変えたのは、僕が2日連続で同じカレーを出されるのが嫌だと、おばあが思っているからだ。それはちがうんだ。僕は同じカレーを2日連続で出されたって文句を言ったりしない! だから僕は叫んでしまった。
「カレーだったら連続で一週間、いや一ヶ月でも食える!」