スジャータのコーンポタージュスープに、とうもろこしの粒を一本分追加。それを温めて出したところ、味にうるさいおばあが、珍しく素直に褒めてくれた。
愛媛の山奥で生まれ育ったおばあにとって、とうもろこしは貴重な”甘味”だった。毎年、収穫の時期が待ち遠しくてたまらなかったそうだ。
今でこそ、おばあはケーキとか大福とか、砂糖たっぷりのお菓子に目がない。とうもろこしはそこまで甘くはないけど、おばあが甘いもの好きになった原点だ。だから今でも格別な味で、子どものころの思い出が、とうもろこしに砂糖にも勝る甘みを加えているのに違いない。
そこで今回、僕がおばあに作った”孫めし”はーー
とうもろこしづくし!
まず最初に用意したのは、前回もよろこんでくれた、
スジャータのコーンポタージュスープ。もちろん、具材にはとうもろこし一本分の粒をプラス。
今回はパック入りのものじゃなくてイチから作ってみようかと思ったけど……なんだか失敗しそうなので、また間違いない味のスジャータのお世話になった。
だだ今回は、初めてのメニューも用意した。それはーー
炊きたての、とうもろこしごはん。
おばあはごはんも大好きだから、とうもろこしとの組み合わせはまさに鬼に金棒、いや、おばあにとうもろこしだ!!
レシピは、洗った米2合にとうもろこし一本分の粒と芯、そして塩を少々入れて炊くだけ。芯を入れると甘みが出るらしい。ついでに、いつも入れている「もち麦」も投入。
そしておかずは、
豚しゃぶと、
温野菜。そこにともろこしの粒をトッピングして、市販のタレで味付けした。
僕自身はうまくできた……と思うけど、問題はおばあが気に入ってくれるかどうか。
料理をテーブルに並べ、星付き料理店のシェフの気分で
「今日は、とうもろこし……」
と料理の説明をはじめると、言い終わらないうちに、おばあは早速とうもろこしごはんに手を伸ばした。
そして、しばらく無言で、表情も変えず食べ進む。
眉間にうっすらとシワが寄っているし、カメラを向けても目もくれないし……もしや、口に合わなかった!?
恐る恐る味の感想を聞いてみると、
この投稿をInstagramで見る
「おいしかった」
と嬉しい返事が!
無言で無表情なのは、それだけ夢中になっているということだったのか!?
きっと前回みたいに満点をくれるはず! そう期待して点数を聞いてみると
「70点」
って、なんでやねん! 前よりとうもろこしメニュー増えてるのに!
そのマイナス30点は、何があかんかったんや!? と聞き返したいところだけど、長年おばあと一緒にいると、何を言わんとしているか想像がつく。
満点じゃないのは、”おいしくできたからこそ、さらに上を目指せ!”という味にうるさいおばあからの、叱咤激励のメッセージだ。
それなら、もっとおいしいもん作ったるで、おばあ! と威勢よく心の中で誓ったものの、一体どうすれば……そうか! とうもろこしの他にも、思い出の味がある。それを一緒に出せば、きっとよろこんでくれる!
今度はとうもろこしの他にも、大根とか里芋の炊いたんとか、おばあの好きなメニューを一緒に出したるで!