真夏にかき氷アイスおいしいよね、おばあ…って、なんで晩ごはんは熱々のおでんなんや、おばあ!

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今日はとにかく暑すぎる! 明け方に汗だくで目覚めてから、冷房はずっとつけっぱなし。昼前に外に出ると、ドアを開けたとたんに灼熱の空気が流れ込んできた。この感じは、銭湯でサウナの扉を開けたときと同じだ! 少し外を歩くだけで、額から汗が流れ落ちてくる。

なかなか冷房をつけないおばあのことが心配になり、用事を済ますと、おばあの家に向かった。そして冷房をつけているか確認し、設定温度を一度下げ、途中で買ってきたスポーツドリンクを飲ませて、箱入りのイチゴ味のかき氷アイスを手渡した。

「アイスくらい、好きなときに食うわ」
とおばあは文句を言っていたけど、かき氷の棒アイスを受け取ると一気にかじりついた。すると当然、頭がキーンと痛くなったようで、
「こら、冷たいわ」
と顔をしかめてぼやいていた。

これでひとまず熱中症予防にはなったはずなので、僕はようやく安心して自宅に戻った。

晩ごはんの時間になっても、外は相変わらず蒸し風呂のよう。部屋から出た瞬間から、全身の毛穴から汗が噴き出してくる。

こんな日は、冷たいそうめんをつるっとすすりたい! この前、おばあが晩ごはんに出してくれた箱入りの『揖保乃糸』がまだ残っていたはず。

それに、またあのときみたいに、半熟の薄焼きたまごとかピーマンの千切りとか、おばあオリジナルのトッピングがあったら……もう、最高!

昼間にかき氷アイスをがっついていたおばあも、そうめんをすすりたい気持ちは、僕と同じに違いない。

冷たいそうめんを目指し、汗だくになりながらおばあの家にたどり着くと、テーブルにあったのは――涼しげな純白の糸のような、そうめん……じゃない!?

それどころか、大きな鍋が食卓に鎮座している。しかもガラスのフタが蒸気で曇って、中身は見るからに熱々だ!

まさかこの猛暑に、鍋もの……いや、そんなはずは!? これまでのパターンからすると、意外な具材が入ったおばあオリジナルの煮物の可能性もある。それにしても、なぜこんな暑い日に!?

「おばあ、これ…」
驚く僕の言葉は、
「さっさと座って食べや!」
とおばあの大声にかき消された。

それ以上何も言い返すことができず、指示された通りに席に着くと――
大きな鍋のフタをつかんで開けようとしている祖母・おばあ
おばあが鍋のフタをつかんで――
食卓で鍋のフタを開けている祖母・おばあ
持ち上げる。
鍋のフタを開けている祖母
するとその中身は――
こんにゃくや厚揚げ、タケノコ、骨付き豚肉を煮たおでん風煮物
うすい醤油色の汁の中でひしめく、三角のこんにゃくに厚揚げ、タケノコ、そして骨付きの豚肉って……これ、煮物というよりおでんやんか、おばあ! 真冬に食べたら、体が芯から温まるやつやんけ!

汗だく覚悟で、まずは豚肉から食べはじめる。よく煮込まれていて、やけどしそうなほど熱々だ。でも骨までやわらかく、甘めの味がしっかり染みていて、ごはんをかき込まずにはいられない!

ひと口食べると止まらなくなり、こんにゃくも厚揚げも、ハフハフ言いながら一気に平らげ、2皿目に突入。額からはすでに汗がしたたっているけど、食べれば食べるほど食欲がみなぎってくる。

それに他のおかずも盛りだくさんだ。
サラダに焼き魚とキウイを乗せた晩ごはんのワンプレート
いつものサラダには、魚が2種類も乗っているし――
サラダの横に添えられた半分に切ったキウイ
半分に切ったキウイまで添えられている。そして――
お椀に入れた豆腐とワカメの味噌汁
豆腐とワカメたっぷりの味噌汁も!

メニュー
・おでん風煮物
こんにゃく、厚揚げ、タケノコ、骨付き豚肉
・野菜と2種の魚のワンプレート、キウイ添え
野菜:トマト、キャベツ、レタス、ブロッコリーの芯
・豆腐とワカメの味噌汁
・ごはん

それにしても、どうしておばあは、こんな暑い日におでんみたいな煮物をつくり、ボリューム満点のメニューを用意したのだろう?

味噌汁をすすって、一段落したところで聞いてみると
「そら、力つけなあかんやろ!」
と力強い声が返ってきた。

たしかに、この猛暑に負けない力が湧いてきたで、おばあ! 思わずそんな心の叫びが頭の中に響き渡った。そして熱い豚肉を汗をかきながら頬張っていると、おばあは冷凍庫から残っていたかき氷アイスを持ってきて、また大口を開けてかじりついていた。