2日目の寄せ鍋で風邪を撃退!シメじゃなくてもいきなり投入、中華そば


2日目の寄せ鍋で風邪を撃退!シメじゃなくてもいきなり投入、中華そば

おばあは今日も、背中を丸めて鍋をつついていた。箸で器用に豆腐をつまみ、取り皿に移すと、居間の入口に立つ僕に目を向けた。
「買い物、行ってへんから、今日も鍋やで」

昨晩の鍋の中身は食べ切ったけど、冷蔵庫には具材がまだ残っていたのだ。日課の買い物に行かなかったのは、近ごろおばあは風邪気味だから、寒いなか出歩くのを控えたからだろう。昨日、2日分の鍋の具材を買い、今日はゆっくり休めたようだ。

今のところおばあは、昨晩のように咳やくしゃみをしていない。頬が赤いのは熱があるからではなく、温かい鍋のせいだ。湯気の立つ豆腐をほおばり、息を吐きながら噛み砕いている。これだけ食欲があれば、体調はもう心配しなくてよさそうだ。

口の中のものを飲み込んで、おばあは立ち上がった。首にかけていたタオルを手に取り、鍋の耳をつかみ、台所へとすり足で歩いていく。老人扱いされるのを嫌うおばあは、僕が手を貸そうとしても無視して、重心の低い安定した足取りでぐんぐん進む。

僕の目の前を横切る鍋の中に、妙なものが見えた。

おばあが食べたラーメン入り鍋の残り

おばあはコンロに鍋を置いた。やっぱりそうだ。今までおばあが鍋に入れたことのないアレが入っている。この前、すき焼きのときにも入っていた。あのときおばあが、気に入ったのだ

鍋の残りに、おばあが具材を追加投入するところ

昨日と同じく、豚肉やシメジ、春菊などの具材を鍋に加える。

おばあが用意した鍋に入れる中華麺(ラーメン)

そして新たな具材とは、そう、中華そば! 昨日はうどんだったけど、さすがおばあ、2日目には別の種類の麺を用意していた。鍋に入れるのは初めてだけど、想像しただけでわかる。これ絶対、おいしいよ!

鍋の中におんちの中華そばを投入するところ

蓋をして具材に火を通したあと、中華そばを豪快に投入。再び蓋をして軽く煮込み、おばあはまた僕の助けを無言で断り、鍋をテーブルに運ぶ。

おんちの中華そば(ラーメン)入り寄せ鍋

フタを開けると、湯気の向こうに、黄金の輝きを放つ中華そばが現れた。鍋に麺が入っているけど、シメではないので、他の具材もたっぷりだ。

中華そば入り鍋と一緒に出てきたアジの刺身

メニュー
・寄せ鍋
白菜、春菊、豆腐、豚肉、しめじ、中華そば(恩地食品)
・アジの刺身
・白菜キムチ
・サラダ
生:トマト、キャベツ 茹で:ブロッコリー、アスパラガス、ほうれん草

テーブルには鍋の他にも、サラダやアジの刺身まで用意してあった。おばあは風邪気味であまり動きたくなかったのだから、おかずをこんなに用意しなくてもよかったのに。肉や野菜、中華そばまで入った鍋があれば、それだけでじゅうぶん満足できる。

それにしても……変だぞ。なぜアジの刺身があるんだ。青い魚は傷みやすいから、すぐに食べないといけないと僕に教えてくれたのは、おばあだ。ましてや刺身、日持ちしないのではないか。今日、おばあは買い物に行っていないはず。2日目のアジの刺身を口にして、人一倍敏感な僕の胃腸は大丈夫だろうか。

そんなことより、僕の胃腸は空っぽだ。中華そば入りの鍋を前にして腹が鳴りそう。

中華そば入り鍋の具材を小皿に取り分けたところ

鍋の中身を小皿に取り分け、すかさず麺をすする。やっぱり、思った通り! 昨日は薄味だったつゆに2日分の食材のダシが溶けだし、濃厚な味わいとなり、それがつるっとした太めの中華そばに絡んでいる。1日目では出せないつゆの味と、モチっとした麺の歯ごたえとのど越しが一体となり、食べれば食べるほど、もっと欲しくなる。

中華そば入り鍋を小皿に取り分け、鶴橋のキムチをのせたところ

2杯目は、昨日も食べた鶴橋のキムチを、中華そばにのせてみる。これも、合わないわけがない。本場のキムチの複雑なうま味と辛みが加わって、さらに食欲は増す一方だ。

勢いで、アジの刺身も口にしてみる。普段口にするものより、心なしかもっちりとしていて、味が濃くなっているような気がする。魚や肉は時間が経てば熟成がすすみ、うま味が増すという。このアジの刺身も、1日寝かせたことで、さらにおいしくなったのだろうか。温かい鍋と、冷たい刺身という温度のコントラストも、一口ごとに変化を与えてくれて楽しい。

考えてみれば、おばあが痛んだ刺身なんか出すわけがない。昨日、おばあは2日ぶんの鍋の具材として、うどんと中華そばの2種類を買った。おばあのささやかな挑戦は、僕に新鮮な驚きを与えてくれた。さらに、もらったばかりの鶴橋のキムチを鍋に合わせることも、考えていたことだろう。

鍋の中身のように、アジの刺身を今日出したことも、おばあはちゃんと計算しているのだ。
「刺身は1日、熟成させたんやな。さすがやなあ」
僕は感心していった。すると鍋の向こうで豆腐をほおばっていたおばあが、
「刺身はな、昨日、出し忘れただけや!」
と大声でいった。まさかと思って聞いてみる。
「この中華そばは、昨日買ってきたんやろ?」
「冷蔵庫にあったんを、入れただけや!」

なんだ。アジの刺身も中華めんそばも、おばあが初めから後のことを考えて用意したんじゃないのか。ちょっとがっかりしたし、なぜか怒鳴られて損した気分だ。でも、大声を出せるほどおばあに元気があるというのがうれしくて、僕は中華そばを勢いよくすすった。

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