3日前、おばあの代わりに買い物に行った僕は、鍋の素コーナーでひと際、異彩を放つ黄色とオレンジのパッケージを見つけた。その名前は『カレー鍋スープ』。しかも『CoCo壱番屋監修』の文字!
これは絶対おいしいやつ! と迷わず手に取り、おばあの家に買って帰った。そしておばあが作ってくれたカレー鍋には、僕が買った野菜のほかに、なんと……牡蠣のむき身がたっぷり入っていた。
聞くとおばあの知り合いが、瀬戸内海産のものを送ってくれたらしい。それを惜しげもなく投入して出来上がったのが、『牡蠣カレー鍋』という僕の好物の三重奏! 3つの要素がぴたりと合ってそれぞれのおいしさを高め合い、いくらでも食べられる。
ところが3日目の今日も、まだまだ鍋には具材がいっぱい。というのも、おばあが毎日、減ったぶんの具材を追加し続けているからだ。さすがに牡蠣のむき身はもうないから、投入するのは野菜のみ。それでも牡蠣のダシとカレーのスパイシーさが相まって、まったく飽きずに食べられる。
しかも今晩は、大根やニンジンに加えて――
ナスまで入っている。時季外れのナスをわざわざ選ぶとは……。とおばあのチョイスに疑問を持ったけど、ひと口食べてみると、ダシをたっぷり吸ってとろりと柔らかく、カレーにもぴったりで……『牡蠣カレー鍋』に最高に合う野菜やんか、おばあ!
さすが、おいしいものを追求し続けてきたおばあ、具材の組み合わせが絶妙だ。ナスが合うことを見抜いて選んだのに違いない!
それに、おばあが知り合いから送ってもらったのは、むき牡蠣だけではなく、殻付きの生きたやつもあることが判明。
「これは加熱せなあかんから、レンジで3分やで!」
とおばあが、知り合いから聞いた食べ方を力強く教えてくれた。おばあは先に食べて、味に満足したらしい。
言われた通りにすると――
むき牡蠣より濃厚な味わいで、ちょっとレアのプリプリの食感がたまらない!
それにいつものサラダは――
キャベツに生わかめがトッピングされているスペシャル版だ。
メニュー
・牡蠣カレー鍋(ダイショー『カレー鍋スープ』)
牡蠣、ナス、ニンジン、大根、キャベツ
・殻付き牡蠣
・サラダ
茹で:キャベツ、生:ワカメ
・ごはん
ナス入りの『牡蠣カレー鍋』と殻付き牡蠣。こんなご馳走が食べられるなんて、牡蠣を送ってくれる知り合いがいるおばあの人望と、料理のセンスのおかげだ。
そんなことを僕が伝えても――
おばあはテレビを観たまま
「そうか」
とだけ言った。でもその姿は、なんだか誇らしげだった。おばあの食への探求心は、まだ尽きることがなさそうだ。