僕が前回、作ったのはルウを使わないクリームシチュー。ルウの代わりはバターと小麦粉だけで、特別な技術も必要なし。
しかも味は、バターの香りが食欲をそそる想像以上のおいしさ!
料理上手なおばあも、必ずルウを使っていたし、シチューを家で作るならルウは欠かせない……そんなの、ただの思い込みだった。
だったら僕の大好物、カレーも“ルウなし”で簡単においしくできるはず。
というわけで、そろえたのが――

こんな食材。
【材料】4食(人)分
鶏むね肉 300g
トマト 3個
玉ねぎ 2個
かぶら 1個
にんじん 3本
しいたけ 適量
まいたけ 適量
牛乳 400ml
水 550ml
【調味料】
カレー粉(GABAN) 大さじ2
クミンパウダー 適量
バター(雪印北海道バターミニパック) 4個 32g
隠し味の砂糖 お好みで
カレールウの代わりに選んだのは――

GABANのカレー粉。
S&Bの赤缶と迷ったけど、赤缶は小さな37gと使い切れそうもない400gの二種類。200gのGABANの量がちょうどよさそう。
そもそも、ルウを使わないならスパイスをいちから調合! なんてこともやってみたいけど、かなり手間がかかりそう……。だから今回は、すでにブレンドされているカレー粉で作る。
ただカレー粉は、ルウとちがって香りと色をつけることしかできない。ルウに含まれていた油分や塩気、うま味といった味の要素は、別の調味料で加えなければいけない。
油分は――

クリームシチューでも使った、小分けのバターを入れる。量は8グラムのキューブを4つ、合計で32グラム。
カレーにバターとくれば、メニューはもちろん、バターチキンカレーだ!
さらに塩気とうまみは、コンソメキューブを入れよう……と思っていたけど、切らしているのを忘れていた……。
というわけで、戸棚にあった賞味期限切れかけの――

かつおと昆布の合わせだしを使うことに。
塩気とうま味が加わればいいから、きっとこれでも大丈夫! と自分に言い聞かせて、調理開始だ!
カレー粉で作るバターチキンカレー調理開始!
まずは玉ねぎを少量のバターと一緒に弱火で炒め、しんなりしたところで――

にんじんを入れてさらに炒める。
玉ねぎやにんじんを弱火でじっくり炒めるのは、おばあのカレーの作り方だ。これで甘味が出てカレーがぐっとおいしくなる。
ここで冷蔵庫にあった“かぶら”を洗って4等分してーー

鍋に加える。
そして――

ざく切りにしたトマトと、残りのバターを入れて、フタをしてしばらく火を通す。
それから――

水550mlと鶏むね肉、キノコを追加し――

和風の合わせだしを入れ――

続いてカレー粉を入れて、ときおり混ぜながらフタをして煮込む。
するとすぐに刺激的なカレーの香りが立ち上り、これだけでもう、ごはんが欲しくなる~!
それから15分ほど煮込んで、具材に火が通ったら、牛乳を400mlほど入れてひと煮立ち。
そして――

ダメ押しのクミンパウダー追加!
すると一気に、インドカレー店みたいな本格的な香りにつつまれる!
さらに最後に、隠し味に砂糖をだいたい大さじ1入れる。
これを軽く混ぜたら――

できあがり!
それともう一品、セロリと水菜を洗って電子レンジで加熱したサラダも用意。
味付けは――

瀬戸内のレモンと唐辛子で作った、タバスコならぬレモスコ。それとカレーにも入れたクミンパウダーをふりふり。
それでは、いざ、食卓へ !

メニュー
・カレー粉で作ったバターチキンカレー
・セロリと水菜のレンチンサラダ
まずは健康的にサラダからべジファーストで……と思ったけど、ルウよりもスパイシーな香りと鮮やかな黄色が食欲をそそって、もう我慢できない!
だから――

やっぱりカレーから、

いただきます!
小麦粉を入れなかったので本場のカレーみたいにシャバシャバかと思ったら、なぜかけっこうとろみがついている。
スプーンですくって口にれると、やっぱり……いや、思った以上に、スパイシー!!
とはいえ辛みは少なくて食べやすいし、これ、食べれば食べるほど止まらなくなるクセになる味だ!
それからどんどん食べすすめ、すこし落ち着こうと――

サラダを口に入れると……ただでさえ強い香りのセロリに、レモンとクミンの芳香が相まって、落ち着くどころか食欲がどんどん加速する~!
それにいつの間にか、汗が額から噴き出してる!
たっぷり入れたカレー粉やクミンが、発汗を促進している!?
こんなの食べたら、晩ごはんなのにばっちり目が覚める!
介護施設に移ったおばあは、病気の影響で寝ていることが増えたけど、この刺激的な味で目を覚ましてくれるかも!?
また僕の作ったものが食べられるようになったら、味わってもらおう。
スパイシーさのなかに、多めにいれた牛乳のまろやかさもあるし、和風だしの食べ慣れたうま味も感じられる。
伝統と革新が融合したおばあの料理の精神が、作っているときには意識していなかったけど、知らず知らずのうちにこのカレーに宿っている。
最近、料理はただ作りたいものを作っているだけで、受け継ごうと思っていた “おばあめし”から遠ざかっていると少し心配していたけど……今のままで間違っていない気がする。
そう思うと、やる気がわいてきた! また好きなものを好きなように作ってやるで、おばあ!