今日は祝日、勤労感謝の日! 毎日ごはんを作ってくれるおばあに感謝して、たまにはゆっくり休んでもらおうと、
「晩ごはんは、お好み焼きでも買ってくるで」
と伝えていた。
ソースたっぷりの濃い味に、総入れ歯でも食べやすいふんわり食感のお好み焼きは、おばあの大好物。だから楽しみに待っているはず! そう思っていると夕方、おばあから電話がかかってきて、
「南瓜買うたから、切ってくれや!」
と一方的に告げられた。
おばあの家に急行すると、台所には丸々としたカボチャが! 今日は休んでもらうつもりだったのに……。
「何してんねん。早よ、切りや」
とおばあはやる気満々だ。
この前、久々に作った『南瓜の炊いたん』が、よっぽどおいしかったのに違いない。それに他にも食材を買い込んできている。せっかくのやる気をそぎたくないし、おばあが今、食べたいものを味わってほしい。
というわけで、言われた通りカボチャを切り分けることにした。この前は丸くて固いカボチャをさんざん苦労して切ったけど、今回は秘策がある。先日インスタグラムで『カボチャをレンジでチンすると柔らかくなる』と教えてもらったのだ。
丸ごと2分ほどチンしてみると、生より断然、軽い力で包丁が刺さる! 少しの『労働』でカボチャが切れた。ついでに、前回おばあが一緒に炊いたニンジンも切っておく。
あとはおばあが、ダシや醤油で煮てくれた。
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15分ほど経って、おばあが確認した煮え具合は、
「100パーセント!」
とのこと。カボチャは前回よりも黄色みが強くて、甘くておいしそう。
僕は一度近くの自宅に帰り、晩ごはんの時間にまたおばあの家にやってきた。食卓の上で、湯気が立ち上る鍋の中身はもちろん――
『南瓜の炊いたん』だ!
先に食べ終えているおばあに感想を聞くと、
「100パーセント!」
と明るい返事が! パーセントという言い方、気に入ったらしい。
それにしても……大鍋の『南瓜の炊いたん』のほかに
『イワシの炊いたん』もあるし、
いつものサラダの上には、見慣れぬおかずが乗っている!?
断面を見るとどうやら鶏肉だ。表面はこんがりと焼き色が付き、かおりも香ばしくて食欲をそそる。おばあが作ったとは思えないし、総菜を買ってきたらしい。
口に入れると、中心には歯ごたえのあるゴボウが入っていて、ジューシーな鶏肉との相性もいい! そこに甘くてホクホクの――
『南瓜の炊いたん』とくれば……もう、箸が止まらへんで、おばあ!
メニュー
・南瓜の炊いたん
・イワシの炊いたん
・鶏肉のゴボウ巻き(惣菜)
・サラダ
キャベツ、小松菜、ミニトマト、ワカメ
・ごはん
おばあはわざわざ勤労感謝の日に、重たいカボチャや見たこともない惣菜まで買ってきて、ご馳走を作ってくれた。
好きなものを食べて、表情も何だか嬉しそう。買ってきたお好み焼きもいいけど、今日もおばあの手料理が食べられて僕も大満足だ。近々感謝のしるしに、『南瓜の炊いたん』より甘いものでもプレゼントしよう。